【検証】「まだ一度も見てない」新紙幣、なぜ見かけない? キャッシュレス化だけじゃない、大きな理由

■お釣りで新紙幣をゲットできるか

新紙幣をあまり見かけないのはなぜ?

 
 7月3日から新紙幣の発行が始まった。しかし、筆者の周りには「一度も見たことがない」という人が意外に多い。SNSを見ると新紙幣が連日のように話題になり、珍しいナンバーを探そうとする人や、HIKAKINのように1億円を新紙幣でゲットする人が出現するなど大盛り上がりなのだが、いったいなぜだろうか。

  試しに、筆者がいろいろな店で福沢諭吉の1万円札(旧紙幣)を使い、お釣りで新紙幣をもらえるかどうか、検証してみた。まずは駅の券売機である。秋葉原駅でPASMOに1000円をチャージする際、1万円札を入れて9000円のお釣りをゲットした。5000円札が1枚、1000円札が4枚出てきたが、すべて旧紙幣であった。おなじみの樋口一葉と野口英世である。

 次にその近くにあるコンビニで必要なものを購入する際に1万円札を出した。結果は同じで、すべて旧紙幣であった。続いて、スターバックスでも1万円札を出したが、やはり旧紙幣であった。同じことを書店やスーパーなど、至るところで繰り返したが、結果は同じだった。店側に迷惑だと思ったので、10回ほど試してやめた。

■新紙幣はまだお釣りで出さない?

 お釣りで新紙幣をゲットできるようになるまでには今しばらく時間がかかりそうだが、それにしても、思ったほど流通していないのはいったいなぜだろう。もっと目にしてもいいものだと思うのだが。キャッシュレスが進行しているのはひとつの理由かもしれないが、とある喫茶店チェーンで、興味深い話を聞いた。

 「新紙幣を受け取った場合、別に寄せておいて、まだお釣りで出さないようにと指示があるんですよ。やはり、旧紙幣と新紙幣が混在するのは、お客様を混乱させるということで……」

  つまり、ある程度潤沢に新紙幣が出回るまで、お釣りで出すのは控えているようなのだ。もちろん、あくまでもこの喫茶店が、ということなのだが、ひょっとすると同様の理由で新紙幣を出さない店はあるのかもしれない。

  また、自販機の新紙幣への対応が追い付いていない店もかなり多いように感じた。筆者の近所のラーメン屋は新紙幣に対応していないどころか、新500円玉にも対応していない。理由はメディアで報じられている通り、券売機の更新費用が高いためであるが、実際、事業者にとってはかなりの負担になっているのは間違いない。SNSでは新紙幣フィーバーとなっているが、店側にとっては素直に喜べない事情のほうが大きいのである。

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