森田まさのり『ROOKIES』の名将・沢村監督の謎行動を「なかったことにしたい」 人気作家でも“伏線回収”は難しい?

『ROOKIES』名将・沢村監督の謎行動

 漫画家の森田まさのり氏が自身のXを更新。人気野球漫画『ROOKIES』のあるシーンについて、「なかったことにしたい」と語った。

 SNSで積極的な発信を続けている森田氏は、以前から『ROOKIES』だけでなく、『ろくでなしBLUES』や『べしゃり暮らし』など自身のヒット作について、作画やセリフのミスを中心にセルフツッコミを行う「なかったことにしたい」シリーズを展開中。自虐ネタでファンを大いに楽しませてきた。

 そんな中、「その57」で取り上げられたのは、『ROOKIES』の原稿。原画が公開されるのも貴重だが、作者から「反省」が聞けるのは極めて珍しく、何があったのか気になるところだが、該当シーンはネット裏で二子玉川学園高校(ニコガク)の試合を観戦していた目黒川高校の沢村監督が、気がつけば場所を移して佇んでいるという、意味深なもの。沢村監督といえば作中屈指の名将で、問題を抱えた高校を渡り歩き、生徒を更生させては強豪校に育て上げてきた人物。連載当時、その行動にどんな意味があるのか、気になった読者は少なくなかったことだろう。

 

 しかし森田氏によると、この行動には「何も意味がなかった」。単に違う角度から試合を眺めていた……という見方はできるが、「それならそれで回収せえよ…」とセルフツッコミを行なっていた。このエピソードを描き上げた当時は何か思惑があったかもしれず、後々「伏線」として活用された可能性もありそうだが、結果として「謎行動」が描かれただけになっていたようだ。あらゆる場面において作者の意図が反映される「漫画」という表現において、この意味深なシーンは結果的に不自然なものになってしまったと言えるかもしれない。

 とはいえ、特に週刊連載においては「走りながら考える」ことも必要になり、こうした「回収されない伏線」が残されてしまうのも仕方がないところ。「あれはなんだったの?」というシーンに対して作者が「何もなかった」と明かしてくれること自体がファンにとっては貴重なことで、目くじらを立てる人もいないだろう。最新作の『ザシス』が好評のうち幕を閉じ、気は早いが次回作にも期待が高まる森田氏。それまでの間も、Xのネタ投稿でファンを楽しませてくれそうだ。

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