災害の歴史、地名に刻まれているのは本当?  近世以前に使われていた小字(こあざ)って何?

■その土地でしか見ることがないレアな国字

photo:manuel cosentino(unsplash)

  昔から伝わる地名を守ろう、という動きは各地である。その土地でしか見ることがないレアな国字が使われている地名が、再開発によって失われる例が後を絶たないためだ。そして、土地の住所表記に使われる“小字”には、近世以前の土地の歴史が刻まれている。小字を知ることで、いにしえの土地の光景を鮮明によみがえらせることができるのである。

  そんな小字をまとめたサイトが話題を呼んでいる。東京、神奈川、千葉を中心とした首都圏エリアで、小字のついた住所表記をマッピングした「関東小字地図」である。その土地で起こった事件や出来事に縁のある地名が付いていることも多く、歴史の研究者にも役立ちそうである。

  小字には災害などの歴史が記録されていることがままある。事実、そうしたいわくつきの地名は、自治体やディベロッパーが、土地を売りにくくなると言って改名し、意図的に隠してしまった例が非常に多い。高度経済成長期やバブル期などに多く見られた。

  マイナスなイメージの地名も、ちょっと漢字を変更したり、ひらがなの表記にすれば不思議とプラスイメージになったりするのだ。そして、かつての地名は10年、20年と時間が経つと忘れられてしまう。特に関東圏は就職や進学などで人の出入りが激しいため、その土地の歴史を知る人が少なくなるケースが多いようだ。

■土地の歴史を調べる人が増加

  新築のマンションを買おうとする人は、土地の歴史をさかのぼって調べる人がひそかに多いとされる。近年相次ぐ、地震や津波の発生、さらには地滑りなどが起こった歴史が、かつての小字に残っていることがあるためだ。また、自治体が公表しているハザードマップを活用する人も多いという。

  こうした背景には、今年は能登半島地震もあり、日本人が災害に敏感になっている影響もあるだろう。事故物件を扱ったサイトと言えば「大島てる」が有名だが、関東小字地図を併用して調べれば、より様々なリスクを避けられるかもしれない。

  では、いったいどんな小字が危険なのだろうか。具体的な地名を挙げると問題が起こる可能性が高く、ここでは言及は割けておく。ただ、珍しい“水”に関する漢字が入っていたり、他では見ない国字などの意味深な漢字だったりすると、何かと深い歴史がある土地だったりするケースがあるようだ。

  ただし、それがマイナスであるか、プラスであるかはあくまでもケースバイケースであり、断言は難しい。とはいえ、家を買う時はディベロッパーの言いなりになってはいけないとだけは明記しておきたい。家は一生に一度の買い物であり、一度住むと引っ越しだって簡単ではないだろう。まずは自ら、その土地の歴史を調べることは重要なのだ。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる