『ヒロアカ』はなぜヒーロー漫画の金字塔に? アニメ&映画に向けてまだ間に合う、熱き成長物語を解説

※本稿は『僕のヒーローアカデミア』のネタバレを含みます。

 2014年に「週刊少年ジャンプ」で連載を開始し、いまや世界累計発行部数8500万部を数える“ヒロアカ”こと『僕のヒーローアカデミア』。5月より放送のTVアニメ7期に加え、8月にはアニメ劇場版の第4作目の公開も決定しており、連載がクライマックスを迎える中で、その勢いは増すばかりだ。この機会に本作を一から楽しみたい人のため、本稿では『ヒロアカ』がここまでの大ヒット作になったポイントをあらためてまとめてみたい。

圧倒的熱量の主人公が紡ぐ成長物語

 「友情・努力・勝利」という、少年漫画の王道をここまで詰め込んだ作品もなかなかないかもしれない。ヒロアカは「人は生まれながらにして平等じゃない」という、非常に現実的かつ残酷なセリフで始まる。

 物語の舞台は総人口の約8割が何らかの超常能力“個性”を持つ世界。この世界では、“個性”を悪用する犯罪者たち·敵(ヴィラン)に対し、社会を守る職業・ヒーローが全人類の憧れの的として脚光を浴びており、主人公の緑谷出久(みどりやいずく)も彼らに憧れる少年の1人。街に彼らが出現する度にその個性や攻撃技を細かくメモったり、周囲のギャラリー相手に熱弁したりしてしまうほどのヒーローオタクだ。ただ、出久は幼少期に “無個性”と診断されており、ヒーローの登竜門·雄英校ヒーロー科に入学したいと考えるものの、親や同級生からは「素質がない子供」と思われている。

 医者からは「(ヒーローは)諦めた方が良いね」母親からは「ごめんね」と謝られ、強力な“個性”を持つヒーロー志望の幼ななじみ爆豪勝己からは、「何で俺と同じ土俵に立てると思うんだ‼︎?」とバカにされる出久。

  もし自分が出久の立場だったら、挫けてすぐに夢をあきらめてしまいそうだが、彼はけっして諦めない。それどころか、ある行動でプロヒーロー·オールマイトの心を動かし、「ワン・フォー・オール」を継承することに。さらに、ヒーロー科入学後の授業で、爆豪勝己のチームと対決した際には、クラスメイト・麗日お茶子とのチームワークで見事勝利をおさめるのだ。主人公の“ヒーロー”に対する圧倒的熱量と、「はじめからの天才などいない、努力を重ねて自分で勝利を勝ち取ろう」という強いメッセージ性は読み手の心を捉えて離さない。

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