『ブルーロック』超絶ドリブラー・蜂楽廻に刮目せよ ピッチに降り立った“かいぶつ”が魅せるイマジネーション

『ブルーロック』御影玲王の歩み

 日本中から集められた300人のプレーヤーが世界最強のストライカーを目指し、負ければ即退場のデスバトルが繰り広げられる史上最もイカれたサッカー漫画『ブルーロック』(原作:金城宗幸/漫画:ノ村優介)。生き残りをかけて凌ぎを削るおおくの選手達の中にあって、表情の強張った面々をよそに1人ニコニコと楽しそうにプレーする、笑顔が印象的な異色の選手が蜂楽廻(ばちら めぐる)だ。

超絶的なドリブルテクニックが魅力

 自由奔放という言葉がよく似合うキャラクターの蜂楽は性格同様、そのプレースタイルも創造性に溢れている。1番の特徴はなんといっても変幻自在のドリブルだ。ひとたびボールが蜂楽の元に渡れば、なにか面白いものを魅せてくれるのではないかと思わせてくれる期待感が彼にはある。

 強大な敵と対峙してもその状況を楽しみ、自分の限界値を引き上げながら繰り出す絶技の数々に相手DFも翻弄される。脳内で思い描いたイメージを瞬時にピッチで表現した空中エラシコ等、刹那の閃きでスーパープレーを繰り出す、なんとも華のある選手だ。

 実在するドリブラーではイングランド・プレミアリーグでプレーする三笘薫(2024年4月現在)のイメージと重なる読者も多いのではないだろうか。

 ドリブル中は前傾姿勢になりがちな選手が多い中、三笘は常に背筋が伸びた状態で広い視野を保ったままスピードを落とさずプレーできることがストロングポイントだ。

 その特徴はまるでピッチを俯瞰で見ているかのような的確なボールの置き方とスペースの選択が出来ることにも繋がっている。そして何よりずっと目で追い続けてしまう、期待感を常に感じさせてくれる存在感こそが両者の何よりの共通点と言えるだろう。

己の中に潜む「かいぶつ」との内なる闘い

 幼少期からサッカーが大好きで朝から晩までサッカーボールを蹴って暮らしていた蜂楽。同世代では抜きん出てサッカーが上手く、サッカー以上に楽しいものなんてないと思っていた蜂楽は、周囲から変人扱いされ、次第に距離を置かれ孤立してしまう。

 「あいつらが間違ってる」と不満を呟く蜂楽を諌めつつも、画家である蜂楽の母は自分の信じたいモノがあることは素晴らしいことだと息子に伝える。自分の心の中にいる「かいぶつ」の声を信じることの大切さを説く母の言葉を受け止め、蜂楽は己の中にあるイマジナリーフレンドとも言える存在「かいぶつ」を創りあげ、共に生きていくのだった。それから、サッカーをしている時には常に傍らにかいぶつの存在があった。

 ところが、ブルーロックプロジェクトに参加した蜂楽は一瞬自分自身がサッカーをする意味を見失いかけてしまう。本作の主人公である潔世一や、世代最強のプレーヤーである糸師凛との邂逅を経て蜂楽が辿り着いた答えは、自分自身が「かいぶつ」になること。ライバルとの出会いから更に加速度的に成長し己のエゴを爆発させた蜂楽は、真の意味での怪物に近づき始めたのだ。

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