『ドラゴンボール』連載当時の裏話……人気爆発のきっかけ、超サイヤ人が金髪にした理由は?
意外と知られていない『ドラゴンボール』の舞台裏
数字に関する部分以外にも、『ドラゴンボール』にはさまざまな裏話がある。たとえば超サイヤ人になった時にキャラクターの髪の色が変わることには、作画コスト的な事情があった。
というのも鳥山氏はアシスタントを1人だけ使って作画するスタイルだったが、その人物が孫悟空の髪の毛をベタ塗りすることに手間取っていたため、時間を削減するために髪色を変更したのだという。たしかに超サイヤ人の髪色はアニメでは金髪だが、原作では白い余白のような状態なので、作画コストの削減という利点は大きそうだ。
もちろんそれだけでなく、強くなったことをぱっと見で分かりやすく表現する意図もあったようだが、コスト削減と演出を兼ねた“一石二鳥”のアイデアはさすがと言うしかない。
また、『ドラゴンボール』といえばピッコロ大魔王に始まり、フリーザやセルなどの特徴的な見た目の敵キャラクターたちが登場することでお馴染み。そのデザインについて、鳥嶋氏は歴代編集者がモデルになっていることを明かしている。
ただフリーザに関しては、バブルの頃に社会問題になっていた「地上げ屋」がモチーフになっていたという有名な話もある。次々と惑星に乗り込み、住民たちを絶滅させてからほかの宇宙人に高く売り払っていく……というフリーザの凶悪きわまりない行為は、まさに“宇宙の地上げ屋”そのものだが、『ドラゴンボール』に意外と社会派的な要素があったことに驚く人もいるかもしれない。
『ドラゴンボール』の内容を振り返ると、そこにさまざまな創意工夫があったことに気づかされる。2024年秋には完全新作アニメシリーズ『ドラゴンボールDAIMA』が公開される予定なので、今こそ“鳥山ワールド”の魅力を見つめなおしてみてはいかがだろうか。
【写真】鳥山明が描き下ろした悟空、クリリンや、ミスターサタン、チチなど新作主要キャラ