【漫画】流産を経験した女性が見た、“奇跡のような光景”とはーーXに投稿されたエッセイ漫画『ながれる。』を読む
「とにかく自分を責めないでほしい」
――『ながれる。』はもりさわさんの実体験を描かれているのでしょうか。
もりさわ:はい。私事で大変恐縮なのですが、本作は完全ノンフィクションです。妊娠という状況があまりにも衝撃的だったことに加え、流産して動揺した気持ちを落ち着かせるために制作しました。完全に自分のための日記的な意味合いで描いた作品です。
――主人公の女性はご自身をモデルに?
もりさわ:いえ、“どこにでもいる普通の女性”ということをイメージして描いたと思います。
――病院の帰りにcoco壱のカレーを食べた、という何気ない描写にリアリティがあります。
もりさわ:こちらも実話です。流産は人が1人亡くなってしまうという重大な出来事です。その時の気持ちの落ち込み方は相当なものでしたが、それでも自身の心情とは関係なくお腹は空きます。カレーを食べたシーンもそうですが、生きることの残酷さとともに、「ある意味人間って強いな」と感じた瞬間を切り取って制作しました。
――どのような思いを込めて制作しましたか。
もりさわ:流産を経験した人の喪失感は想像できるものではありません。ただ、決して誰かのせいでもない。例えるなら、心を込めて耕した畑が自然災害が起きて枯れてしまった時のような感覚です。ですので、読んでもらった時に「とにかく自分を責めないでほしい」と感じてもらえたらと願っています。
――人々が笑顔でお神輿を見ている様子を“奇跡のような光景”と表現されていました。何気ない「日常」の風景にも感じられますが、そこに「奇跡」を見出した理由は?
もりさわ:お神輿を担いでいる人々を観察すると、子どもからお年寄りまで年齢は様々でした。その1人ひとりに物語や想いがあり、その中の誰か1人でも欠けても恐らく全く違う物語になると思います。そういったことが頭にふと浮かび、「それって奇跡だよな」と感じて、“奇跡のような光景”と表現しました。
――最後にこれからの漫画制作における目標などあれば!
もりさわ:「やさしくって でも突如喉元に刃をつきつけてくるような 切なさを少しだけ」を信条に漫画を制作していきたいです。それでいて読者さんにわかりやすく伝えられたら良いのですが、まだまだ未熟ですので日々精進です! 現在作画を担当している『RE-TUNE〜あなたの人生チューニングします〜』(ぶんか社)が連載中なので、応援してもらえると嬉しいです!