深見東州『強運』、なぜロングセラーとなったのか? 徹底した営業戦略と書店の事情

なぜ『強運』は売れ続けているのか?

異例のベストセラー『強運』

  年末年始になると、自己啓発系やスピリチュアル関連の本が数多く出版されている。その中でも出色のロングセラーといえるのが、深見東州による『強運』(たちばな出版)ではないだろうか。通勤電車の車内にもよく広告が掲載されているので、タイトルだけなら一度は目にしたことがある人も多いかもしれない。そう、『強運』の二文字がドーンと大きく書かれ、「あなたの運がドンドンよくなる」というキャッチコピーで有名な、あの本だ。

  たちばな出版のホームページによると、現時点での発行部数は累計191万部に達しているという。初版は1998年というから、実に25年以上にわたって売れ続けているロングセラーであり、これまでにコミック版や文庫版も出版されているほどだ。また、深見東州の本では『大金運』もベストセラーだし、著者名で検索をしてみると、他にも数々の自己啓発本やスピリチュアル的な本を数多く出版しているのがわかる。いったい、深見東州とはいったい何者なのだろうか。

  深見東州は、コスプレ姿の講師や摩訶不思議なキャラクターが目を引くユニークなポスターと“怒涛の英語”のキャッチコピーで知られる大学受験予備校「みすず学苑」の創立者であり、「HANDA Watch World(ハンダウォッチワールド)」などの時計店を営むミスズの経営者でもある、半田晴久のペンネームである。半田は自己啓発書本の出版や講演活動を数多くこなし、教育や福祉、環境保護などの社会貢献にも取り組むなど、多岐にわたる活動で知られている人物だ。

気になる『強運』の中身とは

  そんな深見の書籍『強運』は、その名の通り、運を強くする方法や考え方について述べた書籍である。人生において良い運を引き寄せるための心構えや実践的なアドバイスが紹介され、個人の思考や行動が運を左右するという考えをベースに、ポジティブな思考や感謝の心を持つ重要性を強調している。深見は書籍にユーモアを盛り込むことでも有名だが、この本も特有の味わい深い文体のおかげで、サクサクと読み進めることができる。

  『強運』ではこれまで成功した人物たちの例や、古今東西の哲学、宗教的な見解を引用しながら、いかにして自己の内面を豊かにし、周囲と良好な関係を築くかという点に焦点を当てている。自己反省や周囲への思いやりを持つことで、運を自らの手で良い方向に導くことができるという方法が紹介されているのが特徴だ。

  他にも、運が良い人とそうでない人の違い、運を良くするための具体的な方法や心構えが著されている。ポジティブな思考や感謝の心を持つことの重要性を強調しつつ、実践的なアドバイスを通じて、読者自身の人生をより良いものに変えることができるというメッセージが記されている。多くの読書が実践したくなる内容になっているのも、人気の理由ではないだろうか。

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