脳科学者・中野信子が提唱する「運のいい人」になるための科学的な方法とは?
・いまの自分を生かすように考える。
・いい加減に生きる。
・「自分は運がいい」と思い込む。
・積極的に運のいい人と関わる。
・早寝早起きをする。
・いい妄想をする。
・他人の良さを素直に褒める。
あらゆる観点からのアプローチだが、そのベースとなる考え方は「自分を大切にする」ということ。例えば、外出間際に靴下が破れていることに気がついたら、手間だと思わずに、新しい靴下に履き替える。毎日が忙しくても食事をコンビニ弁当でさっと済ませるのではなく、心のこもった料理を出してくれるレストランまで赴く。小さな実践だと思うかもしれないが、「割れ窓理論」という心理学の理論からその重要性を説明できるのだという。それは人はある特定の秩序の乱れがあると、それに同調してしまう傾向があるということだ。つまり、自分を大事にしない人は他人からも大事にされず、逆に大事にしている人は他人からも尊重されるようになるのである。
しかし、自分のことばかりを優先するという意味ではない。他人のことを思いやることも「運のいい人」になるためには大事なことだ。利他的な行動をすることは、脳科学の観点からさまざまな良いことがあるのだという。人に感謝をされると脳の報酬系が刺激され、線条体という快感を生み出す回路が活性化されるとのこと。また、必ずしも人から直接お礼を言われなくとも、自分で「よいことをした」という意識を持つだけで、大きな快感を得られることもわかっている。
つまり、「運のいい人」になるというのは、目先の幸運ばかりを追い求めて、自己中心的で打算的になることではない。日常の些細な心がけを大事にすることで、人生を少しずつ前向きに変えていくという主体的な心の持ちようが大事なのだ。本書は日々の生活で思い悩む人を、運のいい未来に向けてそっと後押ししてくれる快著である。
■書籍情報
『新版 科学がつきとめた「運のいい人」』
中野信子 著
定価:1,650円(10%税込)
発売日:2023年9月10日初版発行
出版社:サンマーク出版