『進撃の巨人』最終回は原作からどう変わった? エレンとアルミンが交わした最後の言葉から考察

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エレンを“1人”にさせなかったアルミンたち

  しかし「地鳴らし」が徹底的に否定されたからといって、エレンが仲間たちに突き放される結末となったわけではない。むしろある意味では、原作よりも救いのある最後だと言えるだろう。

  “道”の世界での対話にて、アルミンは自分の愚かさを語るエレンに対して、共犯者としての態度をとる。そもそも外の世界の本を見せて「誰もいない自由な世界」をエレンに想像させたのは自分だと語り、「“これ”は僕たちがやったことだ」と共に責任を引き受けようとするのだ。

  さらにアルミンは「これからはずっと一緒だね」と言い、いつか地獄で「8割の人類を殺した罪」を受けて一緒に苦しむことを夢見るのだった。その後2人は原作と同じく抱擁を交わすが、アニメではその文脈が異なり、共犯者同士が罪を分かち合うための抱擁となっているように見える。

  またヒストリアの手紙では、「地鳴らし」後の混乱について「この結果はエレンだけの選択ではありません」という言葉があり、自分たちの選択がもたらした結果が「この世界」だと綴られていた。これはエレンの行為を他人事とせず、主体的に引き受ける態度と言えるだろう。

  さらに言えば、アルミンたちが命の危険を重々承知しつつ、和平交渉に赴くのも、エレンの存在があるからだ。言うなれば彼らが選んだ「戦わないための戦い」とは、エレンが選べなかった“もう1つの戦い”を選ぶ行為なのではないだろうか。

  終盤の過激な展開から、作品のメッセージを誤解されることもあった『進撃の巨人』。最終回では原作者・諫山創が自ら内容に手を加えたそうだが、それによって“真に伝えたかったメッセージ”がより明確になったのかもしれない。

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