『スキップとローファー』なぜリアル? スクールカーストを炙り出す”美津未”の存在
“まっすぐ”になれなかった女の子
ミカはオシャレに詳しいイマドキの女子。人一倍空気に敏感なようで、序盤には打算的にスクールカーストを気にするような描写もあった。
だが、ミカの内面はそれほど単純ではない。5月2日放送のアニメ第5話「チクチク いそいそ」で描かれたエピソードなどを見れば、彼女が抱えていた葛藤の一部が伝わってくる。
というのもミカは強気に見えるが、実は誰よりも臆病な部分を持っていた。食べたいものを我慢してオシャレを勉強し、キラキラしたグループに身を置くことで、他人に認めてもらおうとしていたのだ。
ミカはそうした自身の内面を「純粋でまっすぐにもなれない」と表現しており、コンプレックスすら抱いていた。だが、臆病ゆえに積み重ねてきた努力を美津未に認められたことで、彼女たちの間にあった壁が一気に崩れていく。
『スキップとローファー』で描かれるキャラクターは、一方では美津未のように教室の空気から解き放たれて生き生きとしている。しかし他方で、スクールカーストという教室の価値観から逃れられないキャラクターのリアルな葛藤も描いているのだ。
同作がリアリティのある学園モノになっているのは、実はミカの存在によるところが大きいのかもしれない。色とりどりの価値観をもった人物が織り成すドラマの行方を、今後も見守っていきたい。