坂本龍一の自伝『音楽は自由にする』文庫版 音楽と同様に本を愛した坂本が遺した言葉とは?
先日、惜しまれつつ逝去した音楽家・坂本龍一の自伝『音楽は自由にする』(新潮社)の文庫版が発売された。
新潮社からは本作のほか、盟友・村上龍との共著『モニカ 音楽家の夢・小説家の物語』を刊行している。また、新潮文庫の「夏の100冊」フェアのコマーシャルフィルムに出演・音楽を提供したこともあった。
昨年には『音楽は自由にする』刊行後の活動を、長年親交を結んだ編集者の鈴木正文を聞き手として語っており、「ぼくはあと何回、満月を見るだろう」として月刊文芸誌「新潮」に連載。ガンと闘いながら、最後まで音楽家として作品を発表し続ける姿に多くの読者が励まされたことだろう。
坂本の仕事を総力特集した月刊ビジュアル誌「芸術新潮」5月号も、4月25日に発売される。昭和25年創刊の「芸術新潮」が音楽家をメインの特集で取り上げるのは、武満徹以来ふたり目となる。表紙は大竹伸朗が坂本の肖像をモティーフに制作した新作で飾られる。『ぼくはあと何回、満月を見るだろう』は、6月下旬に出版される予定だ。
坂本は音楽と同様に本を愛してやまない人であった。「Ars Longa, vita brevis」(芸術は長く、人生は短し)という坂本が好んだ言葉の通り、長く残る本という形で遺された芸術を楽しもう。
書誌情報
『音楽は自由にする』文庫版
発売:2023年4月19日
ISBN:978-4-10-129122-2
ページ数:336ページ
価格:1,100円(税込)
(電子版は後日配信予定)