五木寛之、初のテーマ別作品集、待望の第2弾!「音楽小説名作集」が4月に発売。
東京書籍株式会社は2023年4月に『五木寛之セレクションⅡ【音楽小説名作集】』を発売した。
第1巻目は【国際ミステリー集】として、直木賞受賞作『蒼ざめた馬を見よ』をはじめ、現代のロシア問題、日韓の文化問題に迫る驚愕のミステリー3篇を収録した。巻末には、佐藤優との対談解説を掲載(50頁)。「月報」掲載は五木寛之、石岡瑛子、佃實夫。
今回の第2巻目は【音楽小説名作集】として、衝撃のデビュー作『さらばモスクワ愚連隊』をはじめ、ジャズやファドなどをテーマに、人間の生き方と音楽の根源に迫る名作の数々を収録。音楽は国境を超え、60年代のリズムが甦る!
■収録作品
「さらばモスクワ愚連隊」(1966・6)
モスクワの裏通りを舞台に不良少年たちが奏でる奇跡のジャズ演奏。「音の聴こえてくる小説」と絶賛され、音楽と人生の本質に迫った鮮烈なデビュー作。
小説現代新人賞受賞。
「海を見ていたジョニー」(1967・4)
音楽は人間だ。ジャズ的とは人間的なことだ。戦場に赴いた黒人兵ジョニーの戦慄のピアノ演奏がつむぐ、愛と哀しみの人間ドラマ。レコード化、映像化もされた不朽の名作。
「老兵たちの合唱」(1968・1)
ニューオリンズの黒人ジャズバンドによる日本公演が企画された。はたして公演は実現できるのか、成功するのか。平均年齢68歳のバンドマンが奏でる奇跡の演奏。
「われはうたへど」(1969・8)
あえて日陰の道を歩む老作詞家。依怙地な男には、戦時中、戦意高揚歌を作っていた過去があった。逃れがたい運命を背負った男にとって音楽とは何であったのか。
「帝国陸軍喇叭集」(1970・7)
スター歌手に逃げられ、途方に暮れる音楽ディレクターは、とある小劇場で衝撃を受ける。そこで目撃したものは陸軍喇叭だった。命運をかけた勝負が始まる。
「暗いはしけ」(1971・10)
ポルトガルリスボン。ファドの歌い手との運命的な出会いと、衝撃的な結末。作詞家・五木寛之の手による「鳩のいない村」(1970年日本作詞家大賞受賞)の楽譜も掲載。
巻末には、マイク・モラスキーとの対談解説を掲載。
【対談解説】(60頁)
五木寛之VSマイク・モラスキー
戦後の闇文化やジャズ文化を中心に、五木作品の異質性やピエ・ノワール(引揚者)の系譜について、まさにジャズのように縦横無尽に語りあう。
【月報】
投げ込みの「月報」では、五木寛之の書下しエッセイと同時代評論を掲載。
Vol.2の掲載は、五木寛之、水野忠夫、寺山修司
■著者プロフィール
五木寛之(いつき ひろゆき)
1932年(昭和7年)9月福岡県生まれ。
生後まもなく朝鮮半島に渡り幼少期を送る。
戦後、北朝鮮平壌より引揚げ。52年早稲田大学ロシア文学科入学。57年中退後、PR誌編集者、作詞家、ルポライターなどを経て、66年『さらば モスクワ愚連隊』で第6回小説現代新人賞、67年『蒼ざめた馬を見よ』で第56回直木賞、76年『青春の門』(筑豊篇ほか)で第10回吉川英治文学賞を受賞。
2002年、第50回菊池寛賞、09年にNHK放送文化賞、10年に『親鸞』で第64回毎日出版文化賞特別賞を受賞。
著書は『朱鷺の墓』『戒厳令の夜』『風の王国』『蓮如』『風に吹かれて』『大河の一滴』など多数。
翻訳にリチャード・バック『かもめのジョナサン』、ブルック・ニューマン『リトルターン』など。
<概要>
『五木寛之セレクションII【音楽小説名作集】』
■著:五木 寛之
■定価:1,980円(税込)
■四六判/396頁
■発行・発売:東京書籍株式会社
https://www.tokyo-shoseki.co.jp/books/81449