ベルセルクやファイアパンチの影響も 江戸時代バトロワ漫画『地獄楽』の凄さを解説

期待高まる『地獄楽』の凄さ

 漫画アプリ「少年ジャンプ+」で2018~21年にかけて連載された賀来ゆうじの漫画『地獄楽』(集英社、全13巻)が、4月からアニメ化される。アニメ制作はMAPPAが担当。『呪術廻戦』や『チェンソーマン』のアニメ化で知られるMAPPAは、キレのあるアクションが高く評価されているアニメスタジオである。激しいアクションがノンストップで展開される『地獄楽』との相性はバッチリだ。

※以下、ネタバレあり

 『地獄楽』の舞台は江戸時代末。死罪人として囚われていた石隠れ衆の忍者・画眉丸は、無罪放免となる御免状を受け取るため「不老不死の仙薬」を求めて極楽浄土と噂される謎の島へ向かう。

 島には画眉丸を含めた10人の死罪人と、彼らを監視する御様御用(刀剣の試し切り役と死刑執行人を兼ねる役職)の山田浅ェ門たちが上陸するが、帰還が許される死罪人はただ一人。そのため、島に上陸するや否や死罪人同士の殺し合いが始まってしまう。

 死罪人には忍者の画眉丸の他に、剣豪の民谷厳鉄斎、くのいち(女忍者)の杠、大盗賊団の賊王・亜左弔兵衛、備前の大巨人(だいだらぼっち)の異名を持つ大男・陸郎太といった達人たちが名を連ねている。

 外界から隔てた謎の島で、達人たちが殺し合う様子は、高見広春の小説『バトル・ロワイアル』の時代劇版といった趣だが、より時代を遡るなら『甲賀忍法帖』を筆頭とする山田風太郎の忍法小説を彷彿とさせる。

 だが、本作が凄まじいのは、死罪人同士の戦いは物語の入り口に過ぎないことだ。島で画眉丸が対峙するのは同じ死罪人だけではない。魚や虫と人間が融合した異形の怪物、巨大生物・門紳。そして、島を支配する天仙と呼ばれる雌雄同体の人造人間たち。

 人間同士の戦いだと思っていると、異形の怪物たちが次々と姿を現し、容赦なく殺していく様子は、三浦建太郎の長編ダークファンタジー漫画『ベルセルク』(白泉社)に登場する怪物・使徒が人間を容赦なく蹂躙する姿を彷彿とさせる。

 作者の賀来ゆうじは『地獄楽』連載中にジャンプ+で三浦建太郎と対談し『ベルセルク』の影響について熱く語っているが、忍者や侍が異形の怪物と戦う本作は、時代劇版『ベルセルク』として楽しむことも可能だろう。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「漫画」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる