『チェンソーマン』第二部で女性を主人公にした意味 「ヒーロー VS ヒロイン」の構造を読む

『チェンソーマン』男女の関係性

「デンジの成長物語としての『チェンソーマン』は、第一部で完成しており、藤本タツキがデビュー当初から描き続けている男の子の成長物語(思春期の課題)はある程度、描ききったという達成感があるのだと思います。対して、第二部では、藤本タツキが『妹の姉』や『ルックバック』といった女性を主人公に女性同士の関係を掘り下げた物語となっており、アサとヨルの関係はその発展型だと言えます。一方でアサは、ぶっ飛んだ性格のキャラクターばかりの『チェンソーマン』の世界において、ごく普通の感性を持つ女性として描かれていて、自身の運命に葛藤しています。自分が大切にしているものほど強い武器が作り出せるという能力も、彼女の葛藤をより深くしています。おそらく藤本タツキは、第一部では描ききれなかった、コベニのような等身大の女性が異常な世界と対峙して成長していく物語を紡ごうとしているのではないでしょうか。その意味で、第一部とは反転した視点の物語と言えそうです。アサとデンジは結果としてぶつかり合うのか、それともアサがデンジを武器化ーーつまり自らの一部として取り込むことで、さらなる巨悪と立ち向かう物語になるのか。それが第二部の焦点となりそうです」

 落下の悪魔とのバトルでは、アサとデンジの関係性にさらなる進展があるのかもしれない。

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