ガンダム『水星の魔女』元ネタはまさかのシェイクスピア!?  戯曲『テンペスト』との類似点は?


 シーズン1のアニメが衝撃的な終わり方で話題となった『機動戦士ガンダム 水星の魔女』。2023年4月から始まるシーズン2も期待大の同作だが、ネット上では「『水星の魔女』のモチーフはシェイクスピアの戯曲『テンペスト』では?」と話題になっている。『テンペスト』がモチーフとされる理由とはどのようなものなのだろうか。

復讐に娘が絡む同一のストーリー

 まずはストーリーの類似点を見ていこう。『テンペスト』の主人公はミラノ大公のプロスペロー。実弟のアントーニオとナポリ王・アロンゾーに裏切られて失脚したプロスペローは、娘のミランダとともに国を追放され行きついた孤島で魔法を習得。アントーニオたちに復讐するべく機会を窺っていた―。  

 対して『水星の魔女』のストーリーはこうだ。ヴァナディース機関で働くエルノラ・サマヤは、夫と娘(エリクト・サマヤ)の3人で幸せに暮らしていた。しかしデリング・レンブランの強制執行により、ヴァナディース機関は襲撃されほぼ全滅。エルノラはエリクトとともに脱出して水星に身を隠すことに。そして時を経て、プロスぺラ(エルノラが名乗っていると考察)は自身の開発したガンダム・エアリアルを使ってデリングたちへの復讐を静かに始める―。

娘を賭けた戦いで勝利をする設定も一緒

 対比してみると、どちらも復讐に娘が絡んでいることがわかる。『テンペスト』で復讐を企てるプロスペローは、アントーニオたちが船で孤島の近くを通るときを見計らい妖精に嵐を起こさせ孤島に漂着させた。船にはアロンゾーの息子ファーディナンドも乗船していたが、アロンゾーやアントーニオたちとは別の場所へ漂着させる。そして自身の娘ミランダと出会わせることで、2人は恋に落ち結婚することとなる。

 『水星の魔女』でも、スレッタ・マーキュリー(エリクトと考察されている)がアスティカシア高等専門学園へ入学してくる。この学園はデリングが総裁を務めるべネリットグループが運営。学園内ではモビルスーツ同士の戦いがおこなわれており、一番の勝者はデリングの娘・ミオリネの婚約者になることができる。そしてスレッタは見事勝負に勝ち婚約者の座を手に入れた。

 ミランダとファーディナンドの結婚は、ミオリネとスレッタの関係性と同じ。また『テンペスト』でプロスペローが復讐に費やした年月は12年。『水星の魔女』でエリクトが4歳のときに水星へ逃げ、16歳で学園への入学を決める時系列と重なる。

どちらにも登場するのが「エアリアル」

 さらに『テンペスト』でプロスペローが利用した妖精が「エアリアル(エアリエル表記の場合もあり)」で、『水星の魔女』のガンダムも「エアリアル」だ。『テンペスト』の主人公「プロスペロー」は、『水星の魔女』の「プロスぺラ」と酷似している。

 この類似性について、ネット上では「裏切り、復讐、娘が絡む点も『テンペスト』と一致してるよね」「『テンペスト』をモチーフにしてるのは間違いない」「ここまで似てるとシェイクスピアへの深いリスペクトを感じる」といった声が上がっている。

 ちなみに『テンペスト』では妖精エアリアルの仲間として「シーリーズ」という豊穣の妖精がいるのだが、実はこの「シーリーズ」は英語読みで元の読みは「ケレス」。『水星の魔女』にも「エラン・ケレス」が登場する。そのため「エラン・ケレスはエアリアルの仲間になるってこと?」との声も上がっている。

 『テンペスト』がモチーフだとすれば、結末も一致するのだろうか。ネット上には「『テンペスト』のラストは主人公がすべてを許し、魔法を捨てることになっている」「オープニングの苔むしたエアリアルの意味は、必要がなくなるということ」といった考察の声も。それともガンダムシリーズならではの意表を突くラストになるのだろうか。

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