『邪神ちゃんドロップキックX』富良野市の不認定問題は一件落着? 今後『邪神ちゃん』という貴重な資源をどう生かすのか
邪神ちゃん騒動、一件落着?
ふるさと納税の費用をもとにしたアニメ『邪神ちゃんドロップキックX』の制作委託料3,300万円が北海道富良野市議会の特別委員会で不認定となっていた話題だが、11月30日に行われた本会議で一転、認定された。
この騒動は、アニメの描写の中に「邪神ちゃんに借金があるため、臓器売買を提案するなど社会通念上許されない行為が多く」あったことなどが問題視されたものである。特別委員会では賛成:反対が7:7の同数となり、委員長判断で不認定となった経緯があった。本会議でも8:8の同数となったものの、議長判決で最終的に認定された。とりあえず、ネット民の多くが不安を抱いていた騒動はいったんの解決を見たと考えていいだろう。
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ただ、今回の騒動は多くの課題を残した。アニメコンテンツで地域活性化を行う難しさが浮き彫りになっただけでなく、筆者が問題と感じたのは、ネット民の間で誤った情報が広まり、大きな誤解を生んでしまった点であった。ネット上では一部のファンが暴走し、富良野市を貶める発言や、反対した議員に対する個人攻撃に等しいツイートがなされる場面もみられた。
未だに勘違いしている人がいるが、富良野市は決してふるさと納税で集めたお金をネコババしようとしたわけでもなく、アニメの制作費を踏み倒そうとしたわけでもない。アニメの制作側に費用は支払われており、議会ではその使われ方が適切だったかどうかを審議したのである。そもそも、予算の使われ方を審議することは地方自治の根幹なのだ。
筆者も『邪神ちゃん』のファンであるため、憤慨したい気持ちはよくわかるが、こうした行為は控えるべきであろう。昨今の自治体は何かとクレームを警戒する傾向にある。アニメとコラボすることをリスクと捉え、自治体が委縮してしまわないか、気がかりであるからだ。