【mimic(ミミック)】話題のAIイラスト作成アプリの改良版が登場 一体どう変わったのか?

  


 AIイラスト作成アプリとして社会的に様々な方面から話題となっている「mimic」が、ベータ版2.0としてバージョンアップされ、10月中に再開されることが発表された。9月14日に運営元のラディウス・ファイブ(東京都新宿区)が詳細をツイッターで告知している。

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AIソフトmimic(ミミック)はイラストレーターの仕事を奪うのか?

 mimicは、イラストレーターの画風や特徴をAIが学び、自動的に新しいイラストを作成するアプリだ。ベータ版がリリースされるとTwitterで大きな話題になった。mimicは、15~30枚程度のキャラクターのイラストを用意すれば、自動で顔の部分を抽出し、描き手の絵柄をAIが学習、イラストを自動的に作成できる。それゆえに、イラストレーターからは「悪用されるのではないか」と懸念する声が上がっていた。

 今回のベータ版2.0は、Twitter上で懸念されていた不安や問題に対し、改善策が示されている。Twitterの反応をチェックする限りでは、おおむね評判が良いようだ。「対応が早くて誠実」「意見をしっかり汲んでくれている」「使ってみたい」と、評価する声が多い。

 運営元は不正利用の例として、「著作権を保持していないイラストを著作権者の許可なくアップロードする行為」「mimic上で公開されているイラストを利用範囲を逸脱して利用する行為」を挙げている。では、具体的にどう対策がされているのだろうか。

 まず、不正利用を防ぐために、連携するTwitterアカウントを事前に審査することにした。そして、審査の結果、「自身でイラストを描かれている」と判断されたアカウントのみ利用できる仕組みだ。したがって、Twitterアカウントやそのリンク先のホームページやイラスト投稿サイトなどに、自作のイラストを1枚もUPされていない場合は利用できない。

 運営元も、普段からイラストを描いているクリエイターの利用を望んでおり、「審査ガイドラインは、厳しい基準を設定させていただきます。そのため、審査完了まで大きく時間を要する場合があります」とアナウンスしている。

 非常に有効な策だと思うが、いったいどうやって審査を行うのかが興味深い。Twitter上には、いわゆるなりすましアカウントは数多く存在する。同じ作者の絵ばかりをUPし続ければ事前審査を突破できてしまう気もするのだが、どうなのだろう。運営元の担当者が1件1件確認するのか、それとも確認作業もAIが行うのだろうか。審査の詳細は不明だが、ここまで手間をかけるのは異例のことであろう。不正利用をさせないという本気度が伝わってくる。

 また、「mimicに学習させたイラスト」と「mimicが作成したイラスト」の両方の公開を必須とした。これは透明性の確保のためである。そして、利用規約違反が疑われるイラストが発見されたときに備え、運営元に通報できる「報告用フォーム」を設置するという。ほかにも、作成されたイラストには透かしが入るだけでなく、悪用された場合に備え、イラストには運営元が追跡可能な情報が付与されるという。その詳細は悪用防止のため非公開としている。

 これらは現時点で、不正利用を防ぐために考え得る万全の対策だと思う。短期間でシステムを作り上げた運営元は素直に凄いと思うし、このアプリにかける意気込みが伝わってくる。

 mimicはコンセプトが非常にユニークであり、有効に活用されれば創作の幅を広げるアプリになることは間違いない。運営元もどのような活用がされるのか楽しみにしているはずだし、筆者もどんなイラストが生み出されるのか、わくわくしている。今後、同種のアプリは他社からもリリースされる可能性はあるが、競合他社もmimic同様の厳格な体制を敷いたうえで、多くの人が楽しめるアプリにしてほしいものである。

 

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