稀代のクライマー山野井泰史 未発表手記と世界の山々の写真を多数収録『CHRONICLE クロニクル』刊行

稀代のクライマー山野井泰史の全記録

 稀代のクライマー、山野井泰史の単行本未収録の手記を一堂にまとめ、冒険の舞台となった世界の山々の写真を多数収録した『CHRONICLE クロニクル』が山と渓谷社から刊行される。

 長年にわたって登山界をリードしてきた山野井泰史。20代前半から世界の大岩壁にソロで挑み、ヒマラヤなどの高峰を舞台に歴史的な成果を挙げてきた。ヒマラヤの第一線での登攀活動は、自著『垂直の記憶』(2004年、山と溪谷社刊)にまとめられたが、本書は、クライミング専門誌などに発表されたものの単行本に未収録だった若いころの手記や、『垂直の記憶』刊行以降に発表された雑誌原稿などを一堂に集めた記録集となっている。

 高校卒業後、世界の第一線を見据えて向かった、血気盛んな武者修行。壮絶な脱出行で多くの指を失ったあと、不屈の精神でクライマーとして復活を果たすまでの奮闘。つねに自身の限界を押し上げる冒険に挑み、ときには天才でも抱える心の葛藤を、素朴で飾らない言葉で綴っている。驚くべきは、登攀に人生を捧げると決めた10代から、40年たってもその哲学は揺るぎなく一貫していること。

 本書は、『垂直の記憶』で綴られたヒマラヤの記録についても、豊富な写真と当時を回顧する短文を添えて再構成。巻末には、山野井泰史の登攀志向に迫る対談やインタビューの再録、加えて、45年にわたる膨大な登山歴から主要なものを抽出した登攀年譜を収録。山野井泰史のタイトル通り、まさにクロニクルを収めた内容といえるであろう。山野井という大きな頂を収めた永久保存版の書籍の誕生だ。

■著者略歴
山野井泰史(やまのい・やすし)
クライマ-。1965年東京生まれ。小学生のときに見たクライミング映画に魅せられ、10代からクライミング一筋の生活を送る。20代からはヒマラヤなど世界の第一線で登攀を実践、いまなお現役で登り続けている。著書に『垂直の記憶』『アルピニズムと死』(ともに山と溪谷社)、氏を描いた評伝に『ソロ』(丸山直樹著/山と溪谷社)、『凍』(沢木耕太郎著/新潮社)などがある。2021年、世界的な登山家に贈られるピオレドール生涯功労賞を受賞。

■書誌データ
書名:CHRONICLE クロニクル 山野井泰史 全記録
著者:山野井泰史
発売日:2022年7月13日
定価:2,200円(本体2,000円+税10%)
256ページ/A5判/カラー208ページ+モノク48ページ

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「新作」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる