『ケーキの切れない非行少年たち』ベストセラー新書のコミック第5巻が早くも話題
ケーキを三等分できないような境界知能にある少年たちが非行を犯し、少年院に入所するーー。児童精神科医として精神科病院や医療少年院に勤務する宮口幸治による新書『ケーキの切れない非行少年たち」(新潮社)は、単に派手な犯罪を扱うわけではなく、あくまでも、非行と、社会がいままで見て見ぬ振りをしてきた「境界知能」を真っ向から取り上げたことが話題となり、ベストセラーとなったことも記憶に新しい。
コミック版『ケーキの切れない非行少年たち』も、第1巻が2022年6月28日現在、Amazonで青年コミック部門第1位、ノンフィクション部門第1位とヒットを記録し、シリーズ累計140万部を記録した。
本書の特徴は、他の漫画作品と違う点が2点ある。ひとつは、 全てのエピソードを原作者の宮口幸治がプロットで執筆しているところ。少年院での実際の診療を元にした物語は、まさに「リアル」で現代の問題点を鋭く描いている。
もうひとつは、『「子供を殺してください」という親たち』で定評のある漫画家・鈴木マサカズが執筆。リアルと、社会の奥に広がる問題点を見事に描いているところ。
最新巻となる5巻は、境界知能から、うまく周りに溶け込めず、非行を犯しつづけ、ついには、マッチングアプリで知り合った住所も本名も知らない男の子供を妊娠して、公園の公衆トイレで出産、殺害してしまう、という少女の話。宮口幸治によるリアルなプロットと鈴木マサカズによるリアルな漫画。本作も境界知能についてのリアルを著した話題作となっている。
■著者紹介
原作:宮口幸治(ミヤグチ・コウジ)
立命館大学教授、(一社)日本COG-TR学会代表理事。京都大学工学部を卒業し建設コンサルタント会社に勤務後、神戸大学医学部を卒業。児童精神科医として精神科病院や医療少年院に勤務、2016年より現職。困っている子どもたちの支援を行う「日本COG-TR学会」を主宰。医学博士、臨床心理士。
漫画:鈴木マサカズ
1973年生まれ。静岡県出身。京都精華大学卒業。「無頼侍」「ラッキーマイン」など執筆作多数。『ダンダリン一〇一』がTVドラマ化、モーニング誌上で『銀座からまる百貨店 お客様相談室』、週刊漫画ゴラク誌上で『マトリズム』など硬軟含めた意欲作を創作。月刊コミックバンチで『「子供を殺してください」という親たち』を連載するなど各方面で話題沸騰中。
■書籍データ
【タイトル】『ケーキの切れない非行少年たち』第5巻
【著者名】原作:宮口幸治 漫画:鈴木マサカズ
【発売日】2022年7月7日
【造本】B6判型
【本体定価】726円(税込)
【ISBN】978-4-10-772515-8
新潮社刊