『日本三國』『光が死んだ夏』『ババンババンバンバンパイア』......漫画ライター・ちゃんめい厳選! 今月のおすすめ新刊漫画

ちゃんめいのおすすめ新刊漫画

 今月発売された新刊の中から、おすすめの作品を紹介する本企画。最新話が更新されるたびにトレンド入りする 『タコピーの原罪』(タイザン5)の上巻や、話題沸騰中の次世代ヤンキー漫画『WIND BRAKER』(にいさとる)最新刊など、強力なラインナップが揃うなか、いま読んでおくべき作品とは? 漫画ライター・ちゃんめいが厳選した5作品をお届けする。

マンガワン『日本三國』松木いっか

 近未来の日本を舞台に、武力ではなく“知力”で成り上がっていく青輝の戦いを描いた作品。未来の話だが、文明が明治初期レベルにまで後退、その上、国土が3つに分かれ、それぞれが覇権を争う三国時代に突入するという、まるで戦国時代を彷彿とさせるような不思議な世界観となっている。

 青輝が持ち前の知力と雄弁さで相手の裏をかく心理戦は本作の見どころの一つ。バトル漫画定番の武器を振り回したり、異能力を使ったド派手なバトルシーンはないものの、言葉と眼差しで相手を切り裂くような青輝の凄みにぜひ注目してほしい。

 また、真っ赤な表紙がとにかく目を引く。帯を外すとタイトルロゴだけ!というかなり攻めたデザインにも驚きだ。

ヤングエースUP『光が死んだ夏』モクモクれん

 いつも隣にいる友人が、全く別の”ナニカ”にすり替わっていたとしたら......。そんな世にも奇妙なもしもから始まる本作。

 ずっと一緒に育ってきた幼馴染の光が、この世のモノではない”ナニカ”と入れ替わっていることに気付いたよしき。けれど、偽物でも良いから自分の側にいてほしいと願うよしきは、その”ナニカ”を受け入れてしまう。光が入れ替わったと同時に、町中は怪異に見舞われ、ついには死亡者まで出てしまうが、それでも2人は一緒にやめることやめず、互いに執着していく。

 ホラーがベースの作品だが、友情を超えた只ならぬ2人の関係性は、どこか悲哀に満ちたブロマンスを感じる。ホラー×ブロマンスというこれまでになかった新ジャンルを確立した本作をぜひ読んでみてほしい。

別冊少年チャンピオン『ババンババンバンバンパイア』奥嶋ひろまさ

 タイトルを言おうとすると、勢い余って「いい湯だな」を口ずさみたくなる本作。ご想像の通り“銭湯”と“吸血鬼”が登場する作品で、10年近くもの間、老舗の銭湯で住み込みバイトをしている吸血鬼の蘭丸が主人公だ。

 数ある人間の血の中でも“18歳の童貞の血”を好む蘭丸。あと3年で18歳を迎える銭湯の一人息子・李仁の血を狙う蘭丸は、彼の成長と童貞を見守り続けてきたが、思春期を迎えた李仁にとある変化が訪れる......。

 蘭丸は、李仁の貞操を守るためにあれよこれよと奮闘するが、奥嶋ひろまさ先生の美麗な筆致も相まってか、これがとんでもなくシュールでおもしろい。また、蘭丸はあの歴史上の人物・森蘭丸という設定。なぜ彼は吸血鬼になってしまったのか?明かされる少し切ない彼の過去、そして飛び出す歴史ギャグは必見だ。

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