【漫画】複雑な家庭の高校生、恋の行方を占うのは料理? Twitter漫画『ぼくと君のはなし』に感動の声

ーー人と人との関係から生まれる温度を感じた作品でした。創作のきっかけを教えてください。

こまつのぶこ(以下、こまつ):本作は漫画の賞に応募するため描いた作品です。応募するために必要な作品のページ数は、今まで描いたことのないほど多いものでした。そのため、これまで自分が思っていたものについて描きたいと思いました。

ーー本作でこまつさんが描きたかったテーマについて教えてください。

こまつ:本作は“無力感”をテーマとしています。無力感の只中にいるなかでいじわるな言葉をかけられても厭世的になることなんてないとか、誰かのズルさに利用されてもきっと生きていけるという気持ちが、本作を描く自分の真ん中にはありました。

ーー七田くんは無力感を象徴するキャラクターだったと感じています。

こまつ:七田には振り回されても人を信じてしまうところがあり、それを佐々木さんがいい感じに壊します。でも七田くんも佐々木さんに影響を与える。どちらかが与えられるのではなく、お互いに与え合う関係を描ければいいなと思って作品を描きました。

ーー七田くんが佐々木さんに与えたものはなんだったのでしょうか。

こまつ:佐々木さんは闘うことができるけれどあきらめることは苦手で、意地っ張りだからこそいつも臨戦態勢なんだと思います。そんな佐々木さんに、七田は安心して会話をする場を与えました。闘うだけでは消耗してしまう。だからこそ止まり木のような存在が必要で、佐々木さんにとって七田はそんな存在になれたのかなと。

 闘うことを教えたのは佐々木さんだけど、休んであたたかな気持ちになることを教えたのは七田なのだと思います。

ーー安心して会話をする機会としてお昼ごはんを共にするシーンを描いた理由を教えてください。

こまつ:色んな人と食事を共にするときに、美味しいものを食べていたのに美味しく食べられなかったなとか、こんなときはすごく美味しく食べられたなとか。私自身がご飯を食べることが好きだからこそ、そんな思いを感じることがありました。そのため食事や孤食の存在を作品に盛り込みました。

ーー休むことだけでなく、ときに闘わなければいけないと話す点に、佐々木さんのつよさや優しさを感じました。

こまつ:逃げることももちろん大事ですが、今逃げたら後悔するぞということが自分の人生にありました。優しいから利用されてつぶれてしまう人もいるかと思い、大きな声を出せない人のために、そして自分のために、七田が闘うお話として描きました。

ーーはじめて40ページ以上ある漫画作品を描くなかで感じたことを教えてください。

こまつ:今までは自分の得意なポーズをイラストとして描くことが多かったです。しかし物語を成立させるために色んなポーズや背景を描かなければいけないこと、コマ割りをすることなど、戸惑うことが多かったです。とにかく完成させるぞと描き続けましたが、登場人物はできるだけいい表情で描くことは意識していました。

ーーこまつさんは数多くのイラストをSNSに投稿しているかと思います。漫画作品を描き始めたきっかけを教えてください。

こまつ:はじめはイラストを多く投稿していたのですが、あるときに1ページの漫画をほぼ毎日投稿していた時期がありました。日常のちょっとしたようなことを漫画として描いていたのですが、イラストよりも周りの人に評価されることが多かったため、私の作品は漫画の方が読者に伝わるのかなと思い、漫画作品も描き続けています。

ーー創作活動を続ける理由を教えてください。

こまつ:今は創作活動とまったく関係のない仕事をしていますが、日々のなかで気になったことを漫画や絵に落とし込むと不思議とスッキリしたり、自分にとって頑張ろうと思えるガソリンとなるのです。最初は自己慰安として描いていたものが、思いがけないカタチで誰かに伝わっていたことや誰かから反応をもらえたこと、誰かとつながったことがすごくうれしくて。そんなときにも、また明日も頑張ろうと思えて。創作活動が私の原動力となっているのだと思います。

ーー今後の目標について教えてください。

こまつ:日常について描き続けたいと思っていて、見ているだけで楽しいと思えるような絵を描き続けられたらいいなと思います。またその両輪として、誰かの日常の片隅に置いていかれたようなものを拾い上げて漫画にしたいです。

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