『よう実』清隆の狙いとは……? 2年生編になっても衰えない人気の秘密を探る

『よう実』衰えない人気の秘密を探る

 最近はやりのラブコメでもなく、アニメ化作品が続出している異世界転生でもない。現代の高校を舞台にしたデスゲームもののライトノベルシリーズが、発売されるたびにランキングのトップを取って支持の高さを見せる。衣笠彰梧による『ようこそ実力至上主義の教室へ』だ。

 「よう実」と略称で呼ばれる『ようこそ実力至上主義の教室へ』(MF文庫J)は、10月25日発売に最新刊となる『2年生編5』が発売された。Rakutenブックスの週間ライトノベルランキングでは、発売直前の週(10月18日~24日)で1位を獲得。全世界で2600万部の『ソードアート・オンライン』や、異世界転生ものの代表作『転生したらスライムだった件』、『魔法科高校の劣等生』のシリーズ最新刊を抑えてのトップというだけで、その人気ぶりがうかがえる。

 主人公は卒業時には希望する進学や就職が100%かなう名門校、高度育成高等学校に入学した綾小路清隆という少年。もっとも配属されたのは最底辺の1年Dクラスで、Aクラスなどと比べると校内では金銭に匹敵するポイントが少ししか与えられないハンディもあって、早くも暗雲が漂う。

 ここで立ち上がったのが、成績は優秀なのに思いやりに欠ける部分があってDクラスに配属された堀北鈴音という少女。クラス対抗のように繰り広げられる試験やイベントで勝利し、ポイントを稼いでAクラスに上がろうと訴えて、クラスのリーダーになっていく。その鈴音に清隆は協力することになる。

 主人公なのに、清隆はリーダーではないのか。そこが「よう実」シリーズの読みどころだ。ある施設で英才教育を受け、最高傑作とまで言われたスーパーエリートだった清隆だったが、思うところがあって施設から逃げ出し、目立たないようにと成績を抑えて高度育成高に入った。自分では矢面には立たないが、赤点をとった者が退学となる試験を乗り切るための策をめぐらせたり、無人島でのサバイバルで他のクラスが仕掛けてきた策を見抜いたりして、Dクラスが脱落していくのを防ぐ。

 「魔法科高校」の司馬達也のように、圧倒的な実力を見せつけて戦いに勝利し、リーダーとして仲間を引っ張る姿には誰もが憧れる。その一方で、本当はとてつもない力を持ちながら、裏方に徹して暗躍する“陰の実力者”というポジションがカッコ良く見える。逢沢大介によるその名も『陰の実力者になりたくて!』(エンターブレイン)というラノベが150万部の人気作となり、2022年からテレビアニメ化されるのも同じような支持が集まっているからではないだろうか。

 もっとも、『2年生編』に入ると清隆は、身近に迫る追っ手による攻撃から逃れたり、厳しさを増す試験を乗り越えたりするために、だんだんと本性を見せ始める。1年生と組んで挑まなくてはならない特別試験で、ただひとり数学で満点を叩き出して才能の片鱗を改めて示した。1年次に続く無人島でのサバイバルでは、追っ手の意を組んだ高度育成校の副理事長を相手に大立ち回りを演じてみせた。

 この場面には、3年生の中で単独行動ばかりしている鬼龍院楓花が居合わせ、清隆の戦闘力を目の当たりにする。清隆に興味があるらしく、誰かに吹聴することはせず秘密は守られたままだが、生徒も教師もくせ者がそろっている学校だけに、楓花が清隆の進路に大きく絡んで来る可能性も想像してしまう。



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