『婚姻届に判を捺しただけですが』ふいキュンと『逃げるは恥だが役に立つ』ムズキュンの違いとは?

ふいキュンとムズキュンの違いとは?

 ドラマ『婚姻届に判を捺しただけですが』(TBS系)の第1話が10月19日に放送された。原作は有生青春氏の手掛ける同名漫画であり、ファンからは「ハンオシ」の愛称で親しまれている作品だ。

 Twitterでは番組に関する情報が「#ふいキュン」というハッシュタグと共に投稿されている。また公式ホームページには「キュン♡ボタン」が設置され、番組の放送を見ながらボタンを押すと、他の視聴者と「キュン」とした場面を共有できるようになっている。作品と紐づけて用いられる「ふいキュン」とは一体なにを表すのか。本稿では「ふいキュン」が示す本作の魅力について考察したい。

借金返済の担保としての結婚

 結婚願望の薄い女性「大加戸 明葉」は、わずらわしい世間の目を欺くために結婚してほしいと話す「百瀬 柊」と出会う。百瀬は軽い心不全で倒れてしまった大加戸の祖母に彼氏と偽り、婚姻届の証人として大加戸の祖母の署名を手に入れる。

 百瀬との結婚には応じないつもりだった大加戸であったが、のっぴきならない事情でお金が必要になった祖母が、古くから経営してきた小料理屋を売りに出そうとしていることを耳にする。祖母の小料理屋を守りたいという思いから、大加戸は自身の貯金やお気に入りのソファをはじめとした家具や家電を売り払う。それでも足りないお金を百瀬から借りるため、その担保として婚姻届に判を押したのであった。

 同じ屋根の下で百瀬と暮らすこととなった大加戸は、共同生活に関するルールを決めたり、百瀬の目覚まし時計が鳴り響いてうるさいことなどで夫婦喧嘩をしたり、百瀬の兄夫婦と交流したりーー。結婚をしたあと特有の体験をする様子が描かれる。

「ハンオシ」と「逃げ恥」の共通項と相違点

 事実婚を題材とした『婚姻届に判を捺しただけですが』(以下、ハンオシ)から、本作と同じくTBS系列の番組として放送された作品『逃げるは恥だが役に立つ』(以下、逃げ恥)を思い出した方も多いのではないだろうか。原作は海野つなみ氏が手掛ける同名漫画であり、第39回講談社漫画賞(少女部門)に選ばれ、2016年に放送されたドラマの最終回では視聴率20.8%を記録した作品だ。

 どちらも事実婚を選択する男女の様子を描いた作品であるため、共通項となる要素も多い。

 例えば、両方の作品において序盤はお互いに恋愛感情を抱いていない点が挙げられる。「ハンオシ」の大加戸は借金の担保として、百瀬は好意を抱く女性に自身の気持ちを悟られないようにするために結婚をした。「逃げ恥」の「森山みくり」も住む場所と職を得るために、「津崎平匡」も家事を代行してもらうのために正式な交際を経ずに結婚を果たした。

 特にお金や仕事を得ることなど、経済的な理由により結婚という選択をした大加戸とみくりは近しい存在といえるだろう。しかし恋愛に関する経験が少なく、「プロの独身」を自称する平匡と、中学生のころからとある人物に恋心を抱き続けてきた百瀬は、恋愛に対する意識という点では対極的な存在だと言える。

 「逃げ恥」は奥手な平匡とスキンシップを図るみくりの距離がなかなか縮まらない様子にじれったい気持ちを覚えながら、手をつないだり、ハグをしたときに胸の高鳴りを感じる作品であった。そんなふたりの様子を象徴して、様々なメディアで「ムズキュン」という言葉が多く用いられた。



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