『二月の勝者』が明らかにする中学受験家庭の様々な事情 生徒=金脈と発言する黒木の真意はどこにあるのか

『二月の勝者』生徒=金脈の真意は?

 そしてここに中学受験の特殊性があるのだが、高校受験や大学受験と違い、首都圏(特に東京)の中学受験は2月の第1週に固まって行われる。つまり、1日目の受験がダメだったとしても、心を切り替えて2日目に挑まなくてはならない。

 そんな過酷な状況にある子どもを支えるという意味で、親の存在は大きい。「合格のためにもっとも重要なのは、父親の経済力と母親の狂気」という黒木の言葉は、中学受験にかかる費用と、12歳の子どもを見守るメンタルを指している。『二月の勝者』は、受験生である子どもの心理状況だけにフォーカスして描かれてはいない。受験生を見守る親のことも、子どもと同じぐらい緻密に描かれている。

 母親は中学受験に熱心だが、父親が無関心であるパターン。逆に、父親が独自の方針を持っており、勉強方法に干渉してくるパターン。塾にかけるお金で揉める家もあれば、子どもと志望校について意見が食い違い喧嘩する家もある。併願校を考えるのも親の仕事と言えるだろう。どうやったら「全落ち」を回避できるか、午前受験と午後受験をどのような組み合わせにするか、様々な可能性を考えなくてはならない。中学受験と一口に言っても、各々の家庭に各々の事情があるのだ、ということを『二月の勝者』は詳らかにする。

 また、黒木の言動で特徴的なのが、中学受験生を鼓舞するのに長けている一方で、講師陣に対しては、生徒のことを「金脈」、親を「スポンサー」と称するなど、営利的な発言をすることだ。確かに、中学受験にはそれなりの金額がかかる。それにしても、あまりにもあけっぴろげな言い方であると感じていたが、最新13巻で明らかになった黒木の“もう1つの仕事場”の置かれている環境と照らし合わせると、何故黒木がそんなにも露悪的な言葉を使うのかが今後見えてきそうな気配がする。

 最新13巻では、6年生の冬期講習が始まり、受験本番までいよいよ2カ月というところまできた。黒木が宣言した通り、全員が第一志望校に合格できるのか、固唾を飲んで見守ろうと思う。



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