滝藤賢一が語るファッションの醍醐味「ハイブランドを楽しめるようになったのはわりと最近」

滝藤賢一、ファッションを語る

 俳優の滝藤賢一が9月24日に自身初のスタイルブック『服と賢一 滝藤賢一の「私服」着こなし218』(主婦と生活社)を発売する。滝藤賢一といえば、幅広い役柄をこなすギャップ俳優のイメージが強いが、ファッション誌で特集が組まれたり、カバーモデルに起用されたりと、”オシャレ俳優”としても知られている。そんな滝藤の私服姿を、春夏秋冬、173日間にわたって撮り下ろし、218ポーズを収録した本作。その肩を張らない着こなし術や服選びのポイントは、ファッション好きはもちろん、おしゃれに疎い方も参考にしやすいはずだ。

 一見手に取るのが難しそうな柄物も、緩く見えすぎてしまいそうなジャージスタイルも、スタイリッシュに着こなしてしまう滝藤賢一が考える”ファッション”とは。本作に掲載されているスナップやエッセイをもとに、ファッションへの意識をさらに深く聞かせてもらった。(とり)

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本誌から一部公開されたファッションスナップは画像をクリック(撮影:山田智絵/主婦と生活社)

ラフなファッションもカッコよく


――本作内のエッセイによると、ファッションの影響は映画から受けることが多いとありました。最近の映画からも影響を受けることはありますか?

滝藤:ずいぶん昔の作品ですけど、フランス映画の『ガラスの墓標』(1970年)ですね。主演のセルジュ・ゲンズブールがスーパーセクシーでたまらないです。ファーのコートにストライプのシャツ。黒の細身のパンツで色気むんむんです。ゲンズブールが愛用していた靴レペットは、僕も3足持っています(笑)。

――滝藤さんのファッションは、ジャンルが多岐に渡るようで、根底には「トラッド」があるのかなと感じました。

滝藤:僕は伝統を重んじる男ですから……シ〜ン……あれ? 誰か何か言ってもらっていいですか? 恥ずかしいから(笑)。トラッド以外も含めてファッションというものが好きですね。

 年齢的にも、長時間の移動は快適に過ごしたくてジャージのセットアップが多くなりますが、自分の好みに合う素材感や色味は厳選しています。中でもニードルズのジャージがお気に入りです。

――本作にはよくお子様が出ていて、家庭的な印象も受けます。外出時に奥さまにファッションチェックをしてもらうことはありますか?

滝藤:必ずチェックしてもらってますよ。たまに趣味が合わない時もありますけど(笑)。100%、ママの意見を聞いてから出かけていますね。

40代にして、ようやくハイブランドに手を出すようになった

――ファッションの遍歴についても、もう少し踏み込んで聞かせてください。映画のほかに受けた影響は何かありますか? 例えば学生時代に憧れの先輩がいたとか。

滝藤:憧れの先輩かぁ……。高校生の頃は『Hot-Dog PRESS』や『MEN'S NON-NO』を読み漁っていましたけど。あっ! いた! マッシュルームカットのキヨカズくんっていう一個上の先輩。今でも強烈に印象に残ってるなぁ。僕の世代は、中学生の頃に『ろくでなしBLUES』の影響でヤンキーブームだったので、その延長で、高校に入学した最初の年はボンタンを履いていたんですよね。それが突如、制服は標準がカッコいいというブームがやってきたんです。ものすごい抵抗を感じましたよ。オレは一生ボンタンを履き続けるとボンタンの神様に誓ったのに。まるで魂を売るかのようでした。

 そんな中、キヨカズくんは、標準のズボンの裾をチョキンと切って、ベルボトムみたいな形にして履いていたんですよ。それに、リングブーツやエンジニアブーツなどのごついブーツをあわせてた気がします。上は、襟が見えるようにジージャンを着て、その上に学ランをあわせていました。めちゃくちゃカッコよくないですか?インパクトがすごかったですよ(笑)。だから当時は、キヨカズくんの真似して裾を切ったりしていました。今、キヨカズくんが何をやっているかは全く知りませんが、ここまで話してきてアレですけど、名前もキヨカズくんか定かではありません(笑)。

――相当奇抜な着こなし方ですね(笑)。

滝藤:友達もみんな、映画とファッションが好きな連中ばかりだったし。休日は、大須観音や矢場町、栄、久屋大通など、無駄に一日中練り歩いていましたね。ビームスとかアニエスベーとかジェイクルーとか、いろんなお店を回りながら。お金がないので買えませんでしたが、友達と見てるだけでも楽しくて。いやぁ、青春だなぁ。名古屋は地下街が四方八方に広がっているので、雨が降っても平気だし、夏場も快適で、ペチャクチャしゃべりながらずっと行ったり来たりしていた思い出があります。

――滝藤さんは、高校卒業後に上京されましたよね。そこからは、ファッションにどのような変化がありましたか?

滝藤:特に無名塾に入った頃はお金がなかったので、毎日同じ服を着ていました。アディダスのウインドブレーカーのセットアップですね。3年間、着まくってましたけど、めちゃくちゃ丈夫でしたよ。父に買ってもらった最後の服です。そして、映像の世界で少しずつ仕事をいただけるようになってきた頃、NEPENTHES(ネペンテス)に出会い、ドハマりしました。僕が服を買う決め手は、店員さんです。服が大好きで、お客さんの職業や背景も理解してくれるような、その道のスペシャリストから買いたい。プロの話は面白いですよ。僕にとって、買い物って日々の忙しさを忘れられる、とても大切な時間なので、楽しみたいんです。

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