背中に昇り龍!入れ墨ワケありバイトに「泣かされる」? Twitter発マンガ『島さん』が人気の理由

ワケありバイト『島さん』に泣かされる理由

 深夜のコンビニで働く人の良さそうなおじいさん。機械操作にも不慣れなようで若いスタッフから注意をされている。また高圧的な態度のお客さんにも腰を低くして対応しているが、やっぱりちょっと抜けていて怒られてしまう。「あのおじいさん大丈夫かな?」と、ちょっぴり心配や同情をしてしまいそうなシチュエーションだが、実はそのおじいさんの背中に立派な昇り龍が彫られていたとしたらどうだろうか?

 まさか背中にそんな刺青が入っているとは思えない主人公・島さんが、コンビニを舞台に繰り広げる漫画『島さん』(「漫画アクション」連載中)が面白いと話題だ。連載開始前にTwitterで「深夜のコンビニでちょっとわけありのおじいさんが働く話」として第0夜が公開されると、そのツイートには2.4万件のリツイート、7.3万件のいいねがつき、今では単行本1、2巻が累計40万部突破する人気ぶりだ。

 見るからに頼りなさそうな島さんは、人を見て態度を変えるようなタイプの人からすぐにナメられてしまう。「人生の終わったジジイ」なんて悪態をつく人もいれば、文句を言われることはあるまいと、強気に迷惑行為をしてくる人もいる。

川野ようぶんどう『島さん』(双葉社)
川野ようぶんどう『島さん』(双葉社)

 往年の時代劇であれば「これが目に入らぬか」と言いながら背中の龍を見せて、黙らせることもできそうだが、島さんはそんなことはしない。「人が人にやさしくする事を忘れなきゃ、何があっても大丈夫だ」と努めて朗らかな表情で誠実に対応をする。

 あるときはバイト仲間のミスをかぶって頭を下げ、あるときは万引をした若者を「まだ若いから、本当にひん曲がる前に見せとかないと。正義は勝つってね」と粋な形で事件を解決する痛快な場面も。力でねじ伏せるのではなく、やさしさで気づきのチャンスを与えていくのだ。(第13夜)

川野ようぶんどう『島さん』(双葉社)
川野ようぶんどう『島さん』(双葉社)

 コンビニという“効率重視な現代社会“を具現化したような場所で、私たちが忘れかけていた何かを思い出させる人情系のいい話。Twitter上では読者から「島さんの優しさが沁みました」「今ちょうどこういう話が読みたかった」「じわっと味わいがある。いい話がたくさんで、私も頑張ろうと思いました」「少し悲しくて、でもそれが少しの希望になる。 じんわり効いてくる漢方薬みたいな作品」と絶賛の声が上がっている。そんな温かな感想が、ときに無機質に感じられるネットという場であるのも、また興味深いところ。

 私たちは便利さを求め続けた結果、人とのつながりを必要以上に省略してきてしまったのかもしれない。人と人とのふれあいを忘れてしまうと、自分の損得ばかりに目が向き、誰かの痛みを忘れてしまいがちだ。そんな日々にヒリヒリとしている人にこそ、この『島さん』という漫画が刺さるのではないだろうか。

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