別荘複数持ち、豪華客船貸切に超高層タワーオーナー……『名探偵コナン』鈴木園子は"理想的"な金持ちキャラ?
様々な漫画に登場する「金持ちキャラ」。『こち亀』の中川や麗子、『ドラえもん』のスネ夫、『ちびまる子ちゃん』の花輪くん……国民的な作品の多くに「金持ちキャラ」が登場していることに、皆さんはお気づきだっただろうか。
単行本100巻の発売も近い『名探偵コナン』にも金持ちキャラが登場する。ヒロインである蘭の親友、鈴木園子。彼女は鈴木財閥の令嬢として『コナン』ワールドの中では一番の財力を持つ、まさに定番の「金持ちキャラ」だ。
園子の初登場は5巻の「山荘包帯男殺人事件」に遡る。『コナン』屈指のトラウマエピソードでもあるこのエピソードの舞台が他でもない、鈴木家が群馬に持つ別荘だった。
その後も園子が各地に持つ別荘は様々な事件の舞台となる。13巻の「三つ子別荘殺人事件」では伊豆の別荘が登場。群馬に伊豆……「リゾート地や山奥に別荘を持っていがち」という金持ちキャラとしては定番のあるある的な要素を、園子もしっかり押さえている。
また、16巻でコナンと怪盗キッドが初めて対峙する「コナンvs.怪盗キッド」では鈴木家の家宝である黒真珠がキッドに狙われる。このエピソード中に鈴木家は「鈴木財閥60周年記念パーティー」なる催しを、豪華客船を貸し切って開催。豪華客船の貸し切り価格の相場はザッと3000万。客船のグレードによってはもっと高い金額かもしれない。庶民の我々には想像できないスケールのパーティーだ。
さらに44巻「怪盗キッドの驚異空中歩行」では園子の叔父である鈴木次郎吉が登場。キッドが狙うビッグジュエルと呼ばれる宝石を、キッドと対決するためだけに競り落とすという豪快さ。それだけでなく、鈴木財閥が持つ大博物館をキッド対策のために改築、空を覆うほどのヘリコプターをチャーターし徹底した対策を展開したものの、キッドにまんまとその裏を突かれてしまう。その後もキッドが登場するエピソードの多くに次郎吉がセットで登場し、資産家である鈴木財閥ならではの大がかりでお金をかけた突拍子もない奇抜なアイデアと、それを出し抜くキッド、さらにキッドを阻止するコナンたち……という展開が定番になりつつある。
さらにさらに、鈴木財閥は前述した博物館だけでなく、美術館、さらにベルツリー急行と呼ばれる豪華列車や、ベルツリータワーという超高層タワーのオーナーでもある。ちなみにベルツリータワーのモデルとなった東京スカイツリーの総工費は600億円、周辺の商業地域も含めれば1400億円とも言われる。その多岐に渡るビジネスで、鈴木財閥はコナンたちの世界では欠かせない企業であることが伺える。
園子、そして鈴木家関係者が登場するエピソードの多くは彼女たちが起点となって話が進んでいく。園子が別荘やパーティーに招待した先で事件が起こるのは定番のパターンだ。これは他の作品における金持ちキャラにも同様のことが言える。『こち亀』なら中川が巷で話題の商品を両さんに紹介したり、なにか新しい事業を始めたことがキッカケとなって話が膨らんでいく。『ドラえもん』ならスネ夫がのび太になにか自慢をし、のび太がドラえもんに泣きつくことで話が展開する。金持ちキャラが様々な漫画に登場するのは、物語を組み立てる上でキッカケにしやすいことが理由なのかもしれない。