ジャンプ+『ダンダダン』はあの名台詞から生まれた ウェブ漫画シーンを席巻する“白石晃士"的世界観に迫る

『ダンダダン』はあの名台詞から生まれた

 Jホラーブームが一段落した2000年代に登場した白石晃士は、当初はフェイクドキュメンタリーの手法を逆手にとることで、H・P・ラブクラフト的なコズミックホラー(宇宙的恐怖)を展開した『ノロイ』や『オカルト』が評価され、一部の映画ファンから熱狂的な支持を受けた。その後、2010年代にオリジナルビデオシリーズ『コワすぎ!』がニコニコ動画の生放送で一挙放送されたことをきっかけに、若い視聴者にも知られるようになり、やがて『貞子VS伽椰子』のようなメジャー作品も手掛けるようになった。

 藤本タツキと龍幸伸の漫画で描かれる超越的な存在と対峙した時に訪れる圧倒的な恐怖や暴力が乾いた笑いに繋がる読後感、そして娯楽作品として万人に開かれている闇鍋的な感覚が「どこから来たものなのか?」と不思議に思っていたが、白石晃士作品の中にある面白さを、漫画に持ち込んだのだと考えると納得がいく。なお、『ファイアパンチ』を連載していた時は、龍幸伸の他にも『地獄楽』の賀来ゆうじがレギュラーアシスタントとして参加し、『SPY✕FAMILY』の遠藤達哉もヘルプとして参加していたという。

 二人とも「少年ジャンプ+」を代表する人気作家だが、優れた作家の周辺には優れた才能が集まり、お互いに刺激し合うことで続々と傑作が生まれるということが多い。現在は「少年ジャンプ+」が、そういう場所として機能しているのだろう。龍幸伸もまた、これからの「少年ジャンプ+」を代表する作家となっていくことは間違いないだろう。作品の面白さはもちろんだが、新しい才能が続々と集まり人気作を連発する「少年ジャンプ+」の今後も要注目である。

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