【漫画】ギア付き自転車、多機能筆箱、カセットテープ……昭和生まれ共感必至『山田全自動の懐かしあるある』

山田全自動と振り返る、懐かしあるある

 江戸時代の町人をモチーフとしたイラストに、ユニークなコメントを添える作風で人気のイラストレーター・山田全自動。氏の新刊『山田全自動の懐かしあるある』は、辰巳出版の「日本懐かし大全シリーズ」と全面コラボし、昭和生まれや昭和に子ども時代を過ごした世代にとっての“懐かしい!”を豊富なビジュアルとともに紹介する一冊だ。

 アイス、お菓子、ジュース、即席めん、小学校、文房具、カセットテープ&オーディオ、おもちゃ&遊び、そして夏休み……山田全自動のほっこりするイラストとともに振り返る子ども時代の“あるある”は、いまや社会の一員としてあくせく働く大人たちにも、楽しかったあの頃を思い出させるに違いない。本書に掲載された懐かしさ満点のあるあるネタや写真もご紹介しながら、自身の“懐かしあるある”について語る山田全自動のインタビューをお届けする。

『シルベーヌ』や『ビエネッタ』は高級品だった

――山田全自動さんは1983年生まれ。80~90年代に少年時代を過ごしているので、本書で紹介されているアイテムに、ひときわ郷愁を感じる部分が多かったのではないでしょうか。

山田:昔のお菓子やおもちゃを見ると、すごく心がときめきますよね。当時は毎日のように見ていたはずなのに、大人になるにつれてすっかり忘れ去ってしまったものが、ふと思い出されることの面白さ。そういえば冷蔵庫の色は緑だったなとか、当時の家の様子まで思い出したりして、脳が刺激されるのがわかります。アイスボンボンとか、よく冷凍庫に入っていましたね。懐かしいです。


ーーアイスボンボン? ポッキンアイスのことですか?

山田:ああ、それです(笑)。僕は佐賀県出身で、みんなこのアイスを“アイスボンボン”と呼んでいたんですけれど、地方によって呼び名が違うみたいですね。その話で編集者とひとしきり盛り上がったりもしました。

ーー本書は人と一緒に読むと、話が弾みそうですね。

山田:自然と子どもの頃の思い出話にも花が咲くので、誰かと一緒に読むとさらに楽しめると思います。たとえば『宝石箱』というアイスは、僕の世代だとあまりピンとこないのですが、少し上の年齢の方だとすごく懐かしく感じるみたいで、そういうちょっとした世代差を確認するのにも役に立ちます(笑)。


ーー「これを知っていたら何年生まれ」みたいな遊び方ができますね。お菓子で印象深いものは?

山田:ロッテの『ジューシー&フレッシュガム』は美味しかったですね。でも、何味かと問われると説明がしにくい(笑)。最近は粒ガムが主流になりましたけれど、昔はいろんな板ガムがありました。

ーースナック菓子の『鈴木くん』『佐藤くん』も懐かしいです。なぜスナック菓子に名字が付いていたのかはいまだに謎ですが。

山田:『鈴木くん』『佐藤くん』はうっすらと記憶がありますが、これこそ何味かさっぱりわからないですね(笑)。でも、こういう遊び心のある自由な商品名も80年代らしくて好きです。アイスの『大予言』とか、完全に奇抜さしか狙っていない感じで。思いきったネーミングですよね。


――『シルベーヌ』や『ビエネッタ』が、“お金持ちの家のおやつ”というイメージで紹介されているのも面白かったです。

山田:まず我が家では出てこないタイプのお菓子でした(笑)。『チョコパイ』でさえ敗北感を感じていましたね。でも、ブルボンは別です。高級感はあるんだけれど、親しみやすさもあって。だから僕は大好きなんですよ、ブルボンのお菓子が。その思い入れもあって、ネタも写真もブルボン商品が多い。

――わかる気がします(笑)。ところで本書では即席めんも色々と紹介されていますね。当時は週休二日制ではなかったから、半ドンの土曜日のお昼に友達の家に集まって、ここで紹介されているカップめんや袋めんを食べた思い出があります。山田さんはどうでしたか?

山田:たしかに、親も忙しかったでしょうし、土曜日のお昼には食べていた記憶がありますね。でも、子どもの頃はむしろカップめんを堂々と食べられることの方が嬉しかった。そういえば、土曜日は学校でみかんジュースが配られていたんですよ。子どもたちはそれを飲んでから、家に帰るんです。でも、これも佐賀県だけの風習だったのか、皆さんにお話ししても「?」という顔をされるので、あるあるネタにはできませんでした(笑)。

憧れの多機能筆箱、ギア付き自転車、カセットテープ

――小学校での遊びあるあるも、すごく懐かしかったです。

山田:なんといっても赤白帽は外せませんよね。ツバのところを垂直に立てて、ウルトラマンの真似をする遊びは、小学生男子なら必ず通る道だと思います。みんな、自分が発明したかのように自信満々にやっていました。


――本書には描かれていませんが、キョンシーの真似をしてぴょんぴょん跳ねながら登校したり。

山田:やっていましたね、額にお札を貼ったりとか(笑)。学校関連の思い出でいうと、多機能筆箱なんかもみなさん、懐かしいんじゃないかなと思います。僕が持っていたのは、中途半端にちょっとだけ機能が付いている筆箱だったんですけれど、お金持ちの家の子の筆箱はすごく多機能で、すごろくとかができるようになっていました。すごく憧れていましたね。多機能といえば、ギア付きでフラッシャーとかがゴテゴテついた自転車もカッコ良かったです。兄が持っていました。でも母親が僕には可愛い自転車を与えたかったみたいで、黄色い自転車だったんですけれど、それが嫌でしたね(笑)。


ーー高学年になると音楽にも興味が出てきて、カセットテープもすごく活用した思い出があります。最近は再びブームになっているそうですが。

山田:僕は今もカセットテープが大好きで、先日は中目黒にあるカセットテープの専門店に行きました。あえてカセットテープで新譜をリリースするアーティストもいるくらいで、その魅力が再発見されているんでしょうね。自分で編集して好きな曲を入れられるのがカセットテープの醍醐味でしたが、好きな人に贈る曲をイメージしてオリジナルのミックステープを作ってみたり、それを友達に無理やり聴かせたり、いま思えばありがた迷惑なことをしていた記憶もあります(笑)。そういうほろ苦い思い出もまた悪くないものです。


ーーカセットテープにも、自分のお気に入りのメイカーとかありましたよね。

山田:ありましたね。いま見ると、どのデザインもキッチュで可愛いなと思うのですが、当時はケースが分厚いのはダサいとか、謎のこだわりがありました。中学生くらいの頃はミニコンポにも憧れて、僕はケンウッドのやつが欲しかったんですね(笑)。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「著者」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる