『黒子のバスケ』黒子テツヤはなぜ影が薄いのに魅力的なのか? 戦い方と性格のギャップを考察
また『黒子のバスケ』では、様々なキャラクターが2人1組で描かれている。黒子も例外ではなく、彼には光となる相棒がいた。名前は火神大我。キセキの世代と同等の天賦の才を持つ、黒子と同じ誠凛高校の1年生だ。この火神との相性の良さが、黒子の魅力をさらに引き出している。
ギラギラと生気を滾らせ才能溢れる火神と、おっとりとした雰囲気を醸し出す黒子は一見噛み合わないようにも思えるが、2人にはある共通点があった。それが「仲間と共に勝ち上がることへの熱意」だ。ことあるごとに陰と陽、光と影として対極に描かれる2人だが、この1点においてのみ連載当初から意気投合していた。この熱血漢とも言えるほどの熱意が、2人を同じく頂へと向かわせる名コンビに仕立て上げているのである。
そして火神の当たり構わず威圧し萎縮させる雰囲気に、黒子の物怖じしない図太さは最適だ。黒子はその170センチにも満たない体格からは想像も付かないほど物怖じしない性格をしている。ミニゲーム中や試合中にヒートアップした火神をクールダウンさせるのは、いつも黒子の役目だった。先輩相手に勝てないと呟く同級生の胸ぐらを掴む火神に、「落ち着いてください」と膝カックンをお見舞いする黒子。火神だけを見ればシリアスで怖いシーンも、黒子が間に入りコミカルに変えてしまう。誠凛高校の光と影。チームを支えた2人は、キャラクターとしても相性最高のコンビだった。
平凡ながらも、主人公として強烈なキャラクター達がひしめく本作をまとめあげた黒子テツヤ。彼にはその雰囲気とはかけ離れた、アツい魂が宿っていた。そして相棒であるツンツンギラギラした巨体を誇る火神と、丸い雰囲気で控えめな体躯をした黒子は、様々な面において相性の良い凸凹コンビであった。体はヒョロヒョロでも、オドオドしていない。黒子には相棒といるからこそ輝く、唯一無二の魅力が無数に隠されていたのだ。