星歴13夜 “とわまう”の赤裸々な関係性 写真集『ティーンエイジ・メランコリー』の世界を読む

浮かび上がる「とわまう」という関係性

 星歴13夜の色とわ・天まうるの写真集『ティーンエイジ・メランコリー』が2月17日に発売された。グループ内でも特に変わった感性を持つ2人のセンシティブな心情が赤裸々に表現されており、2人の関係性に足を踏み入れるようで、見てしまっていいのだろうかとほのかな後ろめたさがある写真集だ。

 言葉にすると取り留めのない2人の頭のなかを、森、ラブホテル、海の3つのパートに収める。2人が考えていること、2人が見ている景色、2人が求める答え。2人しか知り得ない気持ちを知った気になって、海の彼方へと導かれる。10代の(ティーンエイジ)憂鬱(メランコリー)。色とわと天まうるらしい青春を覗いてみよう。

似ているようで似ていない2人

 コドモメンタルINC.がプロデュースする5人組アイドルグループの星歴13夜。「今夜のかなた 夜のくに」をキャッチフレーズに、メンバー全員に独特な名称の星座が割り振られるなど、夜をコンセプトにした世界観が特徴だ。今年1月にはグループ最大規模の単独公演『NanoDayBreaChronicle』をHULIC HALL TOKYOで開催するなど、精力的に活動している。そして、同公演のアンコール時に、2月10日にメンバーのソロ曲のみを収録したミニアルバム『アカシックレコード』の発売と、本作に関する情報が解禁された。

 “さみしい夜にささやき座”の色とわと、“おねしょ座”の天まうるは、「とわまう」というコンビとしても人気のある2人。肩につかないくらいの黒髪ボブ。色白の肌。背丈。雰囲気。写真集の表紙だけでは、違いが分からないほどそっくりな2人だが、読み解いていくほどに、2人の似ていなさにも気づいていく。互いに引っ張りあい、触れあい、見つめあう2人だけど、それぞれが触れているもの、見ている世界は、同じ場所にあっても全く違うものだと感じる。確かな瞳を持つ色とわと、朧げな瞳を持つ天まうる。異なる瞳を持つもの同士だからこそ結ばれる手と手。似ているようで似ていない2人だけど、求める答えは同じところに眠っているのだろう。

映画のような……

 写真集を開くと、薄暗い森のなかで手を繋ぐ2人の姿とイントロダクションから始まる。どこか不気味で意味深な冒頭は、まるで映画のオープニングのようだ。シワついたブルーの制服。赤いリボン。森のなかにある無機質な部屋の窓際で、互いの意思を確認しあうかのように触れあう。怖いもの見たさ。世の中の全てを知ることはできないけれど、この手で触れられるものであれば、とりあえず触れてみたい。そんな好奇心が2人の絆を結束する。

 誰もいない静かな森のなか。赤いロープを持って、森の深いところまでゆっくりと歩いていく。映像を切り取って拡大したみたいな粗いフィルム写真が挟まれる。2人が誰かに向けて残したビデオか、あるいは誰かが設置していた監視カメラに残された映像か。静かな森のなかは確かに誰もいないけれど、2人の好奇心は誰かの目に映るように仕組まれていたのかもしれない。

 赤いロープを互いに首に巻き合う。手は繋いだまま。恐怖と不安。その先にある幸せ。森のシーンの最後は、2人の胸元だけが写されたカットで幕を下ろす。手は繋いだままだろうか。それは写真が見切れていて確かめられないけれど、2人の手首には、離れ離れにならないように赤いロープがしっかりと巻かれている。

 リアリティのある森のシーンから一転、ファンタジーな空間が彩るラブホテルのシーンが続く。白い下着の色とわと黒い下着の天まうるの触れあい。二度と外の世界に出ていけないんじゃないかと思うほどの甘ったるさ。この幸せな時間がずっと続けばいいのに。そんな夜を過ごした翌朝ほど寝覚めが悪いものだけど、未来のことなどお構いなしに、言えるだけ「好き」を言いあって、どんどん夜に堕ちていくみたいだ。

 クリームたっぷりのケーキはまるでドラッグ。一口食べれば、もうブレーキが効かない。森のシーンでは、色とわが引っ張っているように見えたのが、ラブホテルのシーンでは天まうるが上に立っているのがいい。覆いかぶさるように抱きしめて、近い距離で、2人にしか分からない会話をしている。

 誰かに禁止されたわけではないけど、いけないと感じていた大人の遊びを楽しむ。口移しで飲む薬は、効力倍増。思う存分に愛しあえるフィールドで、口づけを交わす。ここまで深い夜に潜り込めば、朝なんて永遠に訪れないのではないだろうか。「好き」が深すぎて、知れば知るほど、求める答えから遠ざかっているような気がする。けれど、永遠に「好き」と言いあえるならそれでいい。抱きしめあって眠りに就く。覚めない夢を見にいくように。

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