若者はなぜTikTokにハマるのか? 調査で判明した「Z世代」特有の嗜好

若者はなぜTikTokにハマるのか?

(2)発信型SNSとともに育ったZ世代の「自己承認欲求」「発信欲求」に応える

 原田の整理によると、思春期時代の「ゆとり世代」(Z世代の一回り上の世代)は“SNS上で叩かれたくない”という「同調圧力」と「防御意識」が強かったが、Z世代は周囲の心象が悪くならない範囲で自己アピールしたいという「同調志向」と「発信意識」が強い。

 Facebookやかつてのmixiは「交流」するSNSだったが、Z世代はTwitterやインスタ、TikTokで「発信」して承認欲求を満たすことを求めている。これらの発信はいずれも短文や短尺で済む(ただし頻繁にではなく吟味して狙って投稿する)。

 まわりがやってるのと同じ程度の発信をすればまわりから「いいね!」をもらえる。これがいい。

「Z世代白書」によると、

「上に立つリーダーになりたいと思う」(Z世代30.3%、 25 歳以上 17.1%)
「今の自分の社会的地位を維持しさらに高めることに力を注ぎたい」(Z世代38.0%、 25 歳以上 26.5%%)
「近い将来、実現可能な目標(夢)がある」(Z世代 58.1%、 25 歳以上 41.8%)

と、最近の若者は消極的ではないことがわかる。

(もっとも、この差が「Z世代とゆとり世代の違い」なのか、年を取ると現実を知って積極性が下がっていくのかは、経年で比較できる調査がないからなんとも言えないが)

(3)かじる世代

 「Z世代白書」はZ世代を「かじる世代」とまとめている。

 ある動画を観ながら「おもしれー」と思いながらもスキップして次の何かを探す、いろいろなことに手を出したがることをアンケートやコメントから導き出す。

 情報量が多い時代らしい飽きっぽさ、気の散らせ方、マルチタスクが特徴的だ。

 TikTokはひとつひとつが非常に短く、合わないもののスキップも簡単、しかも見知らぬ(しかし身近な)インフルエンサー未満の動画に次々出会える。

 ウソくさいのは嫌いで、発信するのは好き、そしてどんどん飛ばしてかじるように消費する。

 それがZ世代にTikTokが刺さった理由なのだ。

■飯田一史
取材・調査・執筆業。出版社にてカルチャー誌、小説の編集者を経て独立。コンテンツビジネスや出版産業、ネット文化、最近は児童書市場や読書推進施策に関心がある。著作に『マンガ雑誌は死んだ。で、どうなるの? マンガアプリ以降のマンガビジネス大転換時代』『ウェブ小説の衝撃』など。出版業界紙「新文化」にて「子どもの本が売れる理由 知られざるFACT」(https://www.shinbunka.co.jp/rensai/kodomonohonlog.htm)、小説誌「小説すばる」にウェブ小説時評「書を捨てよ、ウェブへ出よう」連載中。グロービスMBA。

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