坂上忍 × くっきー!『リクはよわくない』は小さな命の大切さを教えてくれるーー愛犬家のメッセージを読む
「子どもが生まれたら犬を飼いなさい」イギリスには、古くからこんなことわざがあると聞いたことがある。犬は、子どもの成長に合わせて「良き守り手」に、「良き遊び相手」に、「良き理解者」となり、そしてやがて自らの死をもって「命の尊さ」を教えてくれる存在になってくれる、というのだ。
人のそれよりも、ずっと短い寿命の犬と共に生活をするということは、いつか必ずやってくる別れを覚悟しなければならない。もしかしたら子どもにとって、それは初めて命と向き合う瞬間になる可能性も。しかし、いきなり子どもが「その覚悟を持て」と言われても、きっと難しい。大人だって、身近な存在こそいつまでも生きていてくれるのではと、幻想を抱いてしまいそうになるのだから。そこで現実を目の当たりにする前に、まずは「知る」機会になる作品が必要なのだ。
ここに1冊の絵本がある。タイトルは『リクはよわくない』。リクという名の犬が、にじのはしのふもとへ旅立つところから始まる。もちろん、それは悲しい別れ。でも、誰もが避けては通れないもの。ならば、どうしたらその別れを受け入れて前を向けるのか。そのカギとなるのは、それまで一緒に過ごした楽しかった思い出だ。
「だからこそ、大切にしてあげてほしいと、人より、とてもとても短い生涯を、“幸せだった“と思える1日1日にしてほしいと…命の大切さと儚さを、この絵本を通して少しでも感じて頂けたら、幸いです」
そうコメントを寄せた作者の名前は、“さく:坂上忍“。「え、あの人が!?」と驚く人もいれば、「やっぱりね」と納得する人もいるのではないだろうか。坂上といえば、歯に衣着せぬ言動で話題に事欠かない。その一方で、芸能界屈指の愛犬家という顔を持つ。
ペットショップで売れ残っていた犬や、足を失った犬を保護施設から引き取り、猫も含めて一時は17匹もの大家族となったことも。忙しい合間をぬって早朝から散歩に繰り出し、少しでも時間があれば仕事場からいったん家に帰って、できる限り犬たちとの時間を優先する生活を送っている。
その原動力となっているのが、かつて家族として迎え入れた犬の死を迎えるたびに痛感した「もっと大切にできたはず」という想い。そして、この物語に登場する「リク」は、坂上のもとへやってきた犬。実話をベースにした物語になっているのだ。
どんなに大切にしていても、別れを目の前にすると「もっとああしていれば」と悔いは残る。でも、いつかやってくる死を念頭に置くことで、その悔いを最小限にしようと努力できるはず。この絵本を通じて、1匹でも多くの犬が幸せな日々を過ごせること、そして1人でも多くの飼い主が穏やかな気持ちを持てることを祈った作品だ。
絵本を読み進めるうちに、自分がリクを迎え入れたときの様子を想像する。自分だったら、どこまで大切にすることができるだろうか。やがてくる別れのときを、どう迎えようか。犬を飼っている人はもちろん、これから犬を飼おうとしている人が家族と共に話し合うテーマを与えてくれる。