実写版『チェンソーマン』が渋谷の街をジャック! 稀代のダークヒーローに注目
『チェンソーマン』の主人公・デンジが実写化されたポスターが、渋谷の街をジャックしている。
『チェンソーマン』は、『週刊少年ジャンプ』で連載中の人気バトル漫画で、今回の「REALチェンソーマン」プロジェクトは、同作7巻の発売を記念して行われたものだ。特設サイト(https://www.shonenjump.com/j/sp_chainsaw/)でも公開されているポスターは5種類。「REALチェンソーマン」が舌を出し、まるで悪役のように見下し微笑む(?)迫力のアップカットや、電柱の陰からこちらを覗き込むカット。血まみれのワイシャツで渋谷の街を跋扈するフルサイズカット。そして何より目を奪われたのは、スプラッター映画のポスターのようなカットだ。誘蛾灯のような青いライトの下に佇む血まみれのチェンソーマンの姿は、従来の「ジャンプ漫画のヒーロー」のイメージを大きく逸脱している。
それもそのはず、『チェンソーマン』の主人公デンジは、悪魔を討伐するデビルハンターでありながら、自らも「チェンソーの悪魔」としての一面を持っているという異端のヒーローなのである。放つセリフも「悪いヤツぁ好きだぜ~? ぶっ殺しても誰も文句言わねえからなあ~」とぶっ飛んでいる。過日に惜しまれながら最終回を迎えた『鬼滅の刃』の主人公・炭治郎は、悪役である鬼の気持ちをも理解しようとしていた心優しい少年だったが、それとは好対照のキャラクターだ。それでも『週刊少年ジャンプ』編集部は、『チェンソーマン』を次なるジャンプの看板作品としたいのだろう。漫画の新刊のプロモーションで、渋谷の街をジャックするのは異例である。
編集部が力を込める理由は、本書を読めば明らかで、どれだけぶっ飛んだ主人公であっても、その作品はまごうことなきジャンプ作品だからであろう。ライターの成馬零一氏は「予測を超える超展開の連続! ジャンプからしか生まれない怪作『チェンソーマン』のヤバい勢い」(https://realsound.jp/book/2019/10/post-436391.html)にこう綴った。
基本的に少年ジャンプは人気がなければ10週で打ち切られるシビアな世界なので、新連載の際には、後先考えずに面白い要素をぶち込み、まずはインパクトを狙う。だから、絵もストーリーも次第にボロボロになっていくのだが、時々、週刊連載のライブ感によって不気味な怪作が生まれる。『チェンソーマン』に感じるのはそういったジャンプからしか生まれないタイプのヤバい勢いで、だからこそ続きが気になって仕方がないのだ。
なお、「REALチェンソーマン」の造形を手がけたのは、広告や映画でハイクオリティーな特殊メイク・造形を手がける自由廊。ポスターの渋谷ジャックの期間は、6月4日から6月10日の1週間だ。渋谷のどこに行けばポスターの掲示があるのかが記された、地図も特設サイトに提示されているので、渋谷に行く際は参照されたい。なお、同サイトではPVも公開されている。チェンソーの不穏なエンジン音が響き渡る迫力満点の映像作品に仕上がっているので、こちらも要チェックだ。
『チェンソーマン』の最新7巻は、本日6月4日に発売された。今後ますますの人気をかっさらうであろう稀代のダークヒーローの姿を、今のうちに目に焼き付けておきたい。