岩波新書編集部が選ぶ、コロナ禍の「今こそ読んで欲しい3冊」 歴史に学び、人類文明の生態を捉え、地球の外へ

岩波新書編集部「今こそ読んで欲しい」3冊

3.『系外惑星と太陽系』井田茂

系外惑星と太陽系
 とはいえ気持ちが塞ぐと、どうしても俯きがちになる。人との接触も制限されているから、さらに目線は下を向く。でも、それだと気持ちはますます晴れない。そんなときこそ上を向こう。空を見上げてみよう。その先には宇宙がある。太陽系の外まで視野を広げてみると、そこには地球とも似た数千個の惑星がある。つい最近、NASAが液体の水が存在する惑星の存在を発見したというニュースが報じられたばかりだ。この系外惑星をめぐる研究はいま急進展している。その魅力はどこにあるのか。著者は言う。系外惑星研究は、「『天空』と『私』をつなぎ、私たちを(自己中心主義的世界観にもつながる)地球中心主義から解き放とうともしている」と。地球中心主義からの脱却! そのスケールの大きさは、自宅の中で孤独に過ごす私たちを、「天空」=天文学のフロンティアへと導いてくれる。もしかすると、どこかに別の人類や別の宇宙が存在するかも!? そんな空想が駆け回れば、家の中も劉慈欣『三体』(早川書房)の世界だ。

■書籍情報
価格:本体820円+税
公式サイト

選評

 家の中にいても落ち着かない。小説でも読もうかと思ったけれど、今何が起きているのか気になるし、自分たちの生活がこの先どうなるのか知りたい。でも、ニュースばかり見ていては気が滅入る。ウイルスという目に見えないものに振り回されてばかりいたくもない。そもそも、本当は家を飛び出して「どこか」へ行きたい。せめて物語のような壮大な世界に思いを馳せることができないか。だったら、この三冊で、歴史に学び、人類文明の生態を捉え、地球の外へ飛び出そう。(岩波新書編集部)

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