岩波新書編集部が選ぶ、コロナ禍の「今こそ読んで欲しい3冊」 歴史に学び、人類文明の生態を捉え、地球の外へ

岩波新書編集部が選ぶ、コロナ禍の「今こそ読んで欲しい3冊」 歴史に学び、人類文明の生態を捉え、地球の外へ

 新型コロナウィルスの影響により、緊急事態宣言が出されてから二週間。出版界にも発売延期や、書店の営業時間縮小または休業など、様々な問題が発生し始めている。リアルサウンド ブック編集部では、そのような事態の中でも、知識、教養、そしてエンタテインメントを届け続ける出版社の方々に、これまでに各編集部から出版された作品の中から「今こそ読んで欲しい3冊」を選んでもらい、それぞれにレビューを書いてもらった。第1回目は今年、大木毅『独ソ戦 絶滅戦争の惨禍』で「新書大賞 2020」の大賞を受賞した岩波書店の岩波新書編集部。1938年から続く「岩波新書」からどのような3冊が選ばれたのか? 選評を含め見ていこう。(編集部)

岩波新書 編集部が選んだ3冊

1.『給食の歴史』藤原辰史
 脱脂粉乳、ソフト麺、揚げパン……学校で毎日のように口にしてきた給食。楽しかった人にも、苦痛だった人にも、それぞれに思い出があるはず。そんな懐かしの「給食」は、私たちの家庭と社会を結びつける窓である。「食べものを食べることもそれについて語ることも楽しいのですが、深く掘り下げていくと必ず暗い事実とぶつかります」と著者が「あとがき」で述べるとおり、そこから覗く景色は、ノスタルジー一色ではなく、ときに貧困や災害といった困難にも彩られている。現に、新型コロナウイルスの感染拡大により全国の小中学校が休校となり学校給食も休止になった結果、様々な社会的影響が出ている。子どもの栄養失調や、膨大な食品ロス、それによる食品事業者の経営悪化……「暗い」話題が世間をにぎわせる。だからこそ、「暗い事実」に突き当たりながら「本書は、なによりも給食の可能性のために書かれるだろう」と宣言する著者の書きぶりに、読者は元気をもらえるはずだ。HP「B面の岩波新書」に掲載されて話題となった「パンデミックを生きる指針」もあわせておすすめ。

■書籍情報
価格:本体880 円+税(電子版あり)
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2.『感染症と文明』山本太郎
 1951年、グリーンランドで初めて麻疹(はしか)が流行した。この出来事は驚くべき意味をもっていた。紀元前3000年頃メソポタミアに誕生した麻疹が、グリーンランドを最後に、ついに地球の隅々までにたどりついたのだ。5000年もの時をかけて。しかし、長い時の流れのなかで、麻疹はありふれた病気の一つにまで変化していた。これはウイルスが変化したからではない。人間社会の変化、文明の生態こそがそうさせたのだ、人類はこれまでもウイルスとの「共生」の道を実現してきたのだ。――目に見えないウイルスへの恐怖も、千年単位の歴史のなかに身を置くと、どこか違った受け止め方ができるかもしれない。「共生もおそらくは『心地よいとはいえない』妥協の産物として、模索されなくてはならないものなのかもしれない」と冷静に語るこの本は、答えの見えない日常を居心地悪く生きている私たちに、心地よく響いてくる。

■書籍情報
価格:本体720円+税
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