King & Prince『STARRING』徹底解説 表現者としての自負とプライド――最高の“テーマパークアルバム”である理由

King & Prince『STARRING』徹底解説

 2025年のクリスマスイブ、King & Princeからビッグなプレゼントが届いた。一昨年の『Re:ERA』以来1年2カ月ぶりとなる7作目のアルバム『STARRING』である。

 前作がリリースされる前から構想され、1年以上の時間を費やして作られたという今作。もちろんその時間をかけただけのことはある……どころか、逆に「マジでたった1年でできたの?」と疑いたくなるくらい、このアルバムは濃い。それぐらいのエネルギーとアイディアが注ぎ込まれた、文字通りの超力作である。

 『STARRING』は、発売以降怒涛の記録展開を見せている。Billboard JAPAN総合アルバムチャート「HOT ALBUMS」においては3週連続で1位を獲得(※1、2、3)。また、日本レコード協会2025年12月度ゴールドディスク認定作品プラチナ認定も。SNSでの関連動画は累計1億5000万回再生を超え、まさに文字通りの旋風を巻き起こしている。

 今作のテーマは、ずばり“映画”。アルバムの全曲が架空の映画の主題歌という建て付けのなかで作られた、コンセプチュアルな作品である。アルバムからのリード曲「Theater」が劇場をモチーフにしていることが示唆しているように、リスナーは映画館のスクリーンに没入するようにそれぞれの楽曲の世界に入っていって、その物語に想いを馳せる。単に音楽を聴くだけではない、さまざまな世界観を擬似体験できるような、最高の“テーマパークアルバム”なのだ。

 もっとも、King & Princeがコンセプトアルバムを作るのはこれが初めてではない。前作『Re:ERA』も、アルバムを通じて壮大な物語が展開するオペラ的な作品だった。そのコンセプトをもとに髙橋海人がキャラクターを描き起こしたり、ツアーでもその世界観を表現したりと、その世界がどんどん広がっていくのを味わい尽くしたファンも多いだろう。

 「物語をベースに楽曲やアルバムを作る」という意味では、今作『STARRING』もその延長線上にあると言える。だが、決定的に異なるのは、前作がひとつの大きな物語を振り幅の大きな楽曲によって動かしていくというものだったのに対し、今回は12の物語が並列に配置されているというところだ。しかも楽曲はそれぞれの物語(映画)の主題歌として想定されている。物語のつなぎやプロローグ、エピローグは存在しない。全曲が物語を一身に背負う看板として作られた、重量級のものばかりなのである。ロックオペラ的なコンセプトアルバムは古今東西を問わずいくつも作られてきたし、そのなかには「架空の映画のサウンドトラック」というコンセプトで作られたアルバムもある。だが、「全部が違う映画の主題歌」というコンセプトはちょっと覚えがない。仮にあったとしても、ここまで徹底してやったアーティストはいないのではないかと思う。

King & Prince 7th Album 「STARRING」Concept Film

 何が徹底しているかというと、今回、それぞれの楽曲に対応した架空の映画が考えられているのはもちろんだが、その作り込みが半端ではないのだ。それぞれの映画のタイトルや設定はもちろん、ポスターに加えて特報映像(!)までが制作され、当然そのすべてに永瀬廉と髙橋海人のふたり(ソロ曲の場合はひとり)が“主演”、まさにSTARRINGしているのである。しかも、その特報映像から窺える舞台設定やストーリーも、単なる“あるある”ではない。サスペンスからラブストーリー、タイムリープものに友情物語まで、作品のジャンルはさまざまだが、そのどれもが明らかに細部まで練り上げられている。なんなら本当に1本映画を作れるくらいのところまで中身を煮詰めたうえで、その主題歌を本気で作り、物語のいちばん美味しいところだけを映像化したようなこだわりっぷりなのである。一気に全部撮るのは無理だとわかっているが、このなかのせめて1、2本だけでもちゃんと長編化してくれないかな……と思わずにはいられないレベルである。簡単に言えば、これだけで終わらせるのはあまりにもったいない。

King & Prince Documentary of 『STARRING』 Trailer

 なぜKing & Princeは今、このような、めちゃくちゃ労力のかかるアルバムを作ったのか。メンバーが囲み取材などで語ったところによると、このコンセプトの発案者は髙橋だったという。以前から映画をテーマにアルバムを作りたいと考えていた彼は、分厚い資料まで用意して永瀬やチームスタッフにプレゼンしたらしい。彼にそこまでさせたのは、現在の活動に対する手応えだった。「ありがたいことに、芝居のお仕事でそれぞれに主演をやらせていただく機会もあって。今のKing & Princeだからできることがあると気づいた」と髙橋は語っている。たしかに近年、ふたりはドラマと映画の主演を何度も務め、幅広い役柄を演じこなしてきた。その経験が、バリエーション豊かな物語が集まったアルバムを表現し切れるという自信を生んだのだろう。

 実際、このアルバムはとても表現豊かだ。特報映像に映し出されるふたりの表情は作品(楽曲)によってくるくると変わるし、楽曲そのものにおける彼らの歌も同様にそれぞれの場面で異なる顔を見せる。

 たとえば、未来を舞台にヴァンパイアと盗人の友情を描く『Home, Stupid Home』の主題歌として制作されたダンスチューン「Stereo Love」での力強くもセクシーなボーカルワークと、余命1年を宣告された親友との最後の夏を描く『The feel of Summer』の主題歌「だんだん」(楽曲提供はTempalay・小原綾斗)の優しくてセンチメンタルな歌。たとえば、アッパーなポップチューンとなっている「4月1日」(同題のタイムリープものの主題歌)と、ダークな世界観のなかスリリングなビートが展開する「I Know」(SFスリラーな雰囲気を醸し出すバディもの『The DOOMER』主題歌)のあいだの、まるで別人のようなムードの違い。それぞれのソロ曲やミッキー&フレンズと夢の共演を果たしている「What We Got ~奇跡はきみと~」も含め、King & Princeのふたりは特報映像のなかでそれぞれの役柄を演じるのと同じように、アーティストとしてもまったく異なるキャラクターを見事に体現しているのである。

King & Prince「Home, Stupid Home」特報 (King & Prince “STARRING” Film Collection)
King & Prince「The feel of Summer」特報 (King & Prince “STARRING” Film Collection)

 もちろんこれまでも彼らは楽曲ごとにさまざまな表情を見せてきたし、それがグループの表現を押し広げるという経験もたくさん積んできたはずだ。その音楽的な蓄積と、音楽以外の領域での表現の経験値が重なったところで、この『STARRING』は生まれた。言うまでもなく、こうした強力なコンセプトは、アーティストにとってはともすれば足枷やプレッシャーにもなりかねない。自分で決めたコンセプトに足を引っ張られて表現が縮こまってしまったり、無理をして歪なものになってしまったりすることも十分にあり得る。今作のように楽曲ごとに異なるモチーフがあればなおさらだ。しかし、King & Princeはそのヘビーなテーマにあえて向き合い、そしておそらくは彼ら自身の想像を超える成果にたどり着いた。その完成度がどれほどのものかは、それぞれに楽曲や映像に触れてたしかめてほしい。これがアイデア先行、企画倒れの類のものではないということは一発でわかるはずだ。

King & Prince「4月1日」特報 (King & Prince “STARRING” Film Collection)
King & Prince「The DOOMER」特報 (King & Prince “STARRING” Film Collection)
King & Prince「What We Got ~奇跡はきみと~」特報 (King & Prince “STARRING” Film Collection)

 1月からは4大ドームツアー『King & Prince DOME TOUR 2026 STARRING』が開催されているが、ドームのスケールでエンターテインするパフォーマーであり、同時にスクリーンで輝くフィルムスターであり、そして作品作りに真摯に向き合い続けるアーティストであり……これまでのキャリアのなかで全方位に活動を展開してきた彼らなればこそ、このコンセプトを完遂することができた。そうした自負も、このアルバムからは透けて見える。優れたエンターテインメントであると同時にシリアスなプライドも感じさせる『STARRING』。King & Princeというグループの底力をたっぷり感じてほしい。

※1:https://www.billboard-japan.com/d_news/detail/157042/2
※2:https://www.billboard-japan.com/d_news/detail/157202/2
※3:https://www.billboard-japan.com/d_news/detail/157438/2

■リリース情報
7th ALBUM『STARRING』
発売中

配信URL:https://lnk.to/7th1224_STARRING

初回限定盤A(CD+Blu-ray):4,620円(税込)/UPCJ-9065
初回限定盤A(CD+DVD):4,290円(税込)/UPCJ-9066
・仕様:三方背ケース付2Dケース、フォトブックレット24P、歌詞ブックレット16P

<CD>
01. Theater
02. Sunset
03. Stereo Love
04. this time(髙橋海人)
05. だんだん
06. Darling(永瀬廉)
07. 4月1日
08. 希望の丘
09. HEART
10. I Know
11. What We Got ~奇跡はきみと~
12. MEET CUTE

<Blu-ray/DVD>
・「Theater」Music Video
・「Theater」Parallel reel
・「Theater」Music Video Behind the scenes

初回限定盤B(CD+Blu-ray):4,620円(税込)/UPCJ-9067
初回限定盤B(CD+DVD):4,290円(税込)/UPCJ-9068
・仕様:三方背ケース付2Dケース、フォトブックレット24P、歌詞ブックレット16P

<CD>
01. Theater
02. Sunset
03. Stereo Love
04. this time(髙橋海人)
05. だんだん
06. Darling(永瀬廉)
07. 4月1日
08. 希望の丘
09. HEART
10. I Know
11. What We Got ~奇跡はきみと~
12. MEET CUTE

<Blu-ray/ DVD>
・King & Princeのお互いにバレずにミッションをこなせ!

STARRING盤(CD+Blu-ray):4,620円(税込)/UPCJ-9069
STARRING盤(CD+DVD):4,290円(税込)/UPCJ-9070
・仕様:トールケースサイズキャラメル箱、紙トレイジャケット、フォトブックレット24P、歌詞ブックレット16P、折りポスター

<CD>
01. Theater
02. Sunset
03. Stereo Love
04. this time(髙橋海人)
05. だんだん
06. Darling(永瀬廉)
07. 4月1日
08. 希望の丘
09. HEART
10. I Know
11. What We Got ~奇跡はきみと~
12. MEET CUTE

<Blu-ray/DVD>
・King & Prince “STARRING” Film Collection
・Documentary of 『STARRING』

■通常盤(初回プレス/CD):3,520円(税込)/UPCJ-9071(初回プレス終了後、UPCJ-1009に切り替わり)

<CD>
01. Theater
02. Sunset
03. Stereo Love
04. this time(髙橋海人)
05. だんだん
06. Darling(永瀬廉)
07. 4月1日
08. 希望の丘
09. HEART
10. I Know
11. What We Got ~奇跡はきみと~
12. MEET CUTE

King & Prince オフィシャルサイト:https://starto.jp/s/p/artist/41
X(旧Twitter):https://x.com/kp_official0523
Instagram:https://www.instagram.com/kp_official_523/
YouTube:https://www.youtube.com/@kp_official_523
TikTok:https://www.tiktok.com/@kingandprince_um

『STARRING』特設サイト:https://kingandprince7th.jp/
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