草彅剛「歌い続けたい」ーー大杉漣から斉藤和義へ繋ぐ“友達”との絆 音楽特番出演での弾き語りを観て

 草彅の弾き語りは、その後もYouTube動画やファンミーティングなどでのみ披露されてきた。だが今年の夏、ついに潮目が変わった。『2025 FNS歌謡祭 夏』(フジテレビ系/以下、『FNS歌謡祭』)でソロ弾き語りをテレビ初披露することに。『FNS歌謡祭』への出演は実に10年ぶり。その積み重なった思いが濃縮された自作曲「STAY WITH ME」を精一杯歌う草彅の姿に、固唾をのんだ。

 ステージ上では司会を務めた相葉雅紀も、祈るような表情でその姿を見つめる。そして舞台裏では、香取も「自分の歌より緊張した」と食い入るように見届けていたことが、朝の情報番組『めざましテレビ』(フジテレビ系)でも伝えられた。本番が終わり、フラフラになった草彅がやってくると、香取が思わずくしゃくしゃの笑顔と拍手で迎える姿を微笑ましく思いながらも、同じような表情を浮かべている自分にも気づかされた。きっと多くの視聴者も同じ表情をしていたことだろう。そして、天国の大杉もまたそんな表情で見守っていてくれたのではないだろうか。

 「ギターが書かせてくれるんですよ。コードを押さえたらフレーズが出てきたので。今回もそんな感じで作りました」と思いが溢れる形で生まれた「STAY WITH ME」も。特別な縁を感じながら歌った「歌うたいのバラッド」も。草彅の弾き語りは、ときに歌が会話以上に思いを伝えてくれるのだということを教えてくれる。そして、その純粋で健気な歌いっぷりに、誰もが「親のようであり、友達のような」気持ちで草彅を見つめずにはいられなくなるのだ。

 1人で挑んだ『FNS歌謡祭』では、歌い終わるやいなや相葉に「ありがとう、そばにいてくれて」と告げていた草彅。それは、この演奏を見届けたすべての人に向けて発せられていたようにも感じる。そして、斉藤と臨んだ『THE MUSIC DAY』では「絞り出すような〈愛してる〉に胸掴まれました」と言う司会の櫻井翔に、「この歌じゃ、漣さんに届いてないですね。でも、歌い続ければいつか届くと思うので、歌い続けたいと思います」と改めて前を向いて歩み続ける覚悟とも取れる言葉を口にした。

 そばにはいつだって大杉が繋いでくれた友達がいる。テレビの向こうにも大杉と同じような気持ちで草彅を見守る多くの人がいる。そんな心強さを再確認できた地上波テレビでの弾き語りデビューだったのではないだろうか。

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