草彅剛「歌い続けたい」ーー大杉漣から斉藤和義へ繋ぐ“友達”との絆 音楽特番出演での弾き語りを観て
草彅剛が7月5日、音楽特番『THE MUSIC DAY 2025』(日本テレビ系)に出演し、斉藤和義とともに「歌うたいのバラッド」の弾き語りを披露した。この日、草彅が手にしていたギターは、2018年2月に天国へと旅立った俳優・大杉漣の形見だった。
2013年上演の舞台『二都物語』で共演して以来、大杉にかわいがられていた草彅。稽古場にアコースティックギターを持ち込んで、時間を見つけてはギターを奏でていた大杉の渋さに憧れ、39歳にしてギターを始めることを決意。番組内では持ち前の真面目さと素直さでコツコツと練習を続ける草彅を、愛しそうに見つめる大杉の姿も流れた。
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そんな大杉の存在感を草彅は「父親のようでもあり、ときに友達のようでもあった」と振り返る。それは大杉から見ても同じだったのだろう。だからこそ、2016年末のSMAP解散、そして2017年に何もなくなる覚悟で新しい地図を広げようとしていた草彅を元気づけようと、大杉は自身の友人でもあり、かねてより草彅が大ファンだと言っていた斉藤のライブチケットを購入し、一緒に行こうと連れ出したというエピソードも明かされた。
また、2017年6月には草彅がユースケ・サンタマリアとMCを務めていた深夜バラエティ『『ぷっ』すま』(テレビ朝日系)にゲストとして出演。そのときに披露されたセッションも、斉藤の名曲「僕の見たビートルズはTVの中」だった。今回はテレビ局の垣根を超えて、そのときの姿も放送されたことに胸が熱くなった。
「本当に困ったときにそばにいるのが友達」とは大杉が生前語っていた言葉だ。もしかしたら、この先も自分と同じように草彅のことを支えてくれる“友達”として、ギターと、そして斉藤と出会わせたかったのではないか。そんな大杉の願いが叶うように、草彅はどこに行くにもギターと斉藤の教則本を持ち歩き、時間を見つけては弾くという大杉漣スタイルを継承していく。
本来ならば2018年のタイミングでこうした特集を組み、みんなで大杉との別れを惜しみながらも、思い出話で心を温め合えるはずだった。しかし、実際の2018年は草彅、そして一緒に新しい地図を広げた稲垣吾郎、香取慎吾も、一斉に地上波テレビから距離を取らざるを得ない状況になっていた。お別れ会で弔事を読み上げた草彅の様子も、初めてじっくりと見届けることができたのだという感覚を抱いたほど、不自然な状況が続いていた当時を思い出す。
大杉との別れがあってまもない2018年4月1日、草彅は稲垣、香取と地上波テレビに代わってインターネットテレビで、7.2時間生放送のレギュラー番組『7.2 新しい別の窓』(ABEMA)をスタートさせた。その初回生放送で、香取が「ダメな草彅にギターがあってよかった」と話していたことが強く記憶に残っている。長年、草彅を見つめてきた、それこそ“友達”である香取だからこそ言えた「ダメな草彅」という言葉。それほど大杉との別れで草彅はすっかり打ちひしがれていたのだ。
そして、「本当に困ったときにそばにいるのが友達」と『『ぷっ』すま』に大杉がきたように、このときは斉藤がギターを持って駆けつけ、そしてあの日と同じように「僕の見たビートルズはTVの中」を歌ったのだ。それが、どれだけ草彅にとって心を温めたことか。
それから斉藤は、草彅がギターの成果を披露するイベント『草彅剛のはっぴょう会』にゲストとして登場するなど、まるで大杉からバトンを受け取るような形で、草彅がギターを続けていく姿を見届けてきた。草彅がギターを演奏する時間は、大杉や斉藤との縁を噛みしめる時間だったに違いない。そして、その瞬間が草彅の心を支え続けてきたことだろう。






















