TETORA 上野羽有音×炙りなタウン ゆきなり、カッコいいバンド像の追求 “負けられない相手”としての信頼関係

お互いの好きな楽曲から感じるユニークな感性
――ライブハウスでのお二人はいつもカッコいいけど、曲を聴くと、繊細な心の持ち主なんだろうなと感じます。ライブハウスでの勝ち負けにこだわるがゆえに、時に負けることもある日々の中で、臆病になったり落ち込んだりする瞬間はありませんか?
ゆきなり:ビビることはあります。「絶対敵うわけないやろ」みたいな相手と対バンする機会はやっぱりあるし、冷静な時の自分は「うわっ、勝てないかも」「勝てるわけない」というふうに思いますけど……ライブ当日やステージに立つ時にはもう「できる」「やるしかない」という気持ちで。
上野:当たり前やけど、みんな負けるつもりでライブしてないからな。
ゆきなり:うん。

上野:「負けた」「悔しい」って思うことは毎日のようにあるし、家帰ってから、一人でブツブツ言ってる日もあるけど……。
ゆきなり:そうなんや。
上野:でも、私は「ああ、負けた! 楽しい!」と思っちゃいますね。勝った時と同じだけの楽しさが「悔しい」の中にはあるかもしれない。「負けた!」のあとに「楽しい!」と言えている間はバンドを続けられそうだなって思います。
ゆきなり:わし、TETORAの曲だと「覚悟のありか」が一番好きで。
上野:へえー!
ゆきなり:あの曲を聴いて、思い直したことが何回もあるというか。〈負けを認める強さを知ってる人が/いつかは勝つのだろう〉という歌詞に踏ん張らせてもらった過去があります。「はゆねえもこう言ってるし!」って。
上野:炙りなタウンはわいわい騒いでるように聴こえる曲やけど、ゆきなりの書く歌詞は意外と女の子の繊細さもあって、私はそこが好きです。例えば、「渋川」の〈泥だらけユニフォーム洗うのはあの子じゃなくて私〉とか。それとラブソングとかじゃない別の枠やけど、一番好きな歌は「1998」かもしれない。
ゆきなり:そうなんだ!
上野:言葉選びに“ゆきなり節”を感じるので。ゆきなりのこと、「言葉選びが面白い人やな」とずっと思ってるんですよ。「友達の友達が友達だった」みたいなことがあった時、「世界って狭いな」と言うじゃないですか。ゆきなりはそれを「地球って丸いな」と言うんです。
ゆきなり:あー、確かに言うね。
上野:「地球って丸いな」はいいなと思ったから、私もそれ以降使わせてもらってて(笑)。「その言い回しで伝えてくるんや」「私がゆきなりの感性を持ってたら、曲の作り方も違ってたな」と思うことは結構あります。たぶん、自分も気づかずにいろいろな人をドキッとさせてると思う。
ゆきなり:そうなんかな? はゆねえは、誰にも真似できないものを持ってるというか。同じ言葉でも「はゆねえが言うから」というすごさがあるなと思ってます。前にめっちゃドキッとしたことがあったんですよ。ライブ中、チューニングが終わった時にはゆねえが「みんな、好きな人いる?」と言って。その一言を聞いた瞬間、学生時代の思い出とかいろいろな感情が巡ってハッとしたんですよね。はゆねえには、そういう力があるなって思う。ドキッとさせる能力!
上野:あははは! もしあるなら嬉しいな。
「ライブハウスに来る女の子ってカッコいい」(ゆきなり)
――TETORAと炙りなタウンのスプリットツアー『クレイジー&リアル ツアー』が4月12日から始まります。ツアーを一緒にまわることになった経緯を聞かせてもらえますか?
上野:TETORAは「武道館でライブやりたい」「47都道府県制覇したい」「日比谷野音(日比谷公園大音楽堂)でワンマンをやってみたい」というふうにやりたいことがいろいろあるんですけど、その中の一つに「カッコいいバンドとスプリットツアーをまわってみたい」というものがあって。「やりたい」とずっと言っていたら、(事務所の)社長さんが炙りなタウンとのツアーを組んでくれました。

――ツアーの初日は、青森・八戸ROXXでの女性限定ライブです。
ゆきなり:ライブハウスに来る女の子ってカッコいいですよね。2バンドともサブスクで配信してなくてCDオンリーだから、この時代にわざわざCD屋さんに行って、CDを買って、聴いてくれて、ライブハウスに足を運んでくれて……と考えると、みんなカッコいいなと思う。
上野:私もカッコいいなと思います。カッコいい女の子たちに、同じ女性としてカッコいいと思われたいし、バンドとしてもカッコいいと思われたい。
ゆきなり:さっき、はゆねえと「カッコいいおばあちゃんになろうね」って約束したと言いましたけど、わしらはみんなとも一緒に大人になりたい。みんなにも「カッコいいおばあちゃんになろうね」と伝えたいです。
上野:女の子限定のライブは今までにも何回かやったことがあるんですけど、やっぱりちょっと異質なんですよ。素になってくれている感じがしてドキドキする。「あれ? よく来てくれる子やけど、女の子限定の日はダイブしてる!」みたいなこともあって。
ゆきなり:みんな吹っ切れてる感じがします。「今日は汗だくになっても大丈夫や!」「メイク落ちて顔ぐっちゃぐちゃでもいいよ!」って。こっちも、そういうスタンスで行ってるからな?
上野:確かに。「先にメイク落としたるぞ」くらいの気分。
ゆきなり:汗だくになってな。そうすると、向こうも応えてくれる。
上野:そういうやり取りがすごく楽しいんです。
ゆきなり:あと、炙りなタウンはまだ青森に行ったことがなくて。
上野:ROXXはめっちゃいいよ。TETORAが大好きな場所。
ゆきなり:じゃあ絶対炙りなタウンも大好きになっちゃうな。青森含め、今回のツアーで初めて行く土地もあるので楽しみです。しかもTETORAと一緒だから、めっちゃ楽しみですね。
上野:私も楽しみ。しょうもない話をすると、炙りなタウンのめぐぞう(Dr/Cho)は大食いだから、各地で大食いが見られるのも楽しみ(笑)。
ゆきなり:あはは!

上野:短期間でこんなにいっぱい対バンするのは今回が初めてやし、他のバンドと一緒にツアーをまわるのもお互い人生初やし。どんな感じになるのかは未知数。その感じを楽しみたいなと思います。
ゆきなり:どうなるかわからんけど、楽しいのは確定、みたいな。
上野:ふふふ。わからんよ? めっちゃ喧嘩しちゃう可能性もある(笑)。
ゆきなり:殴り合いの?
――怪我なく終わってほしいです(笑)。
上野:ほどほどにしときます(笑)!
◾️ツアー情報
『TETORA×炙りなタウン クレイジー&リアル ツアー』
4/12(土)八戸 ROXX ※女性客限定 / 2マン
4/13(日)盛岡 the five morioka GUEST:FUNNY THINK
4/25(金)広島 4.14 ※2マン
5/15(木)東京 Zepp Shinjuku (TOKYO) ※対バンあり
5/23(金)福岡 OP's ※2マン
5/27(火)名古屋 HUCK FINN ※2マン
5/31(土)金沢 REDSUN ※対バンあり
6/3(火)仙台 enn 2nd ※2マン
6/5(木)札幌 BESSIE HALL ※対バンあり
and more tour.
チケット:¥3,500(税別) / 東京のみ ¥4,000(税別)
【TICKET INFO】
・4/12 青森〜4/25 広島:先着発売中
・5/15 東京〜6/5 北海道:二次抽選先行受付中(3月9日23:59まで):https://eplus.jp/aburinatetora