新田恵海、宮田俊哉、蓮ノ空......μ's「Snow halation」カバーの魅力 約15年を経た今も愛される名曲の奥深さ

 『ラブライブ!』発のユニット・μ'sの「Snow halation」が、昨今再び注目を集めている。これまでにもカバーされる機会の多い曲ではあったが、今年2月に入ってからカバーソングプロジェクト・CrosSingが新田恵海、宮田俊哉のカバーバージョンを立て続けにアップ。また、さらに遡ると昨年5月には『ラブライブ!』シリーズの蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブも“歌ってみた”動画を公開しているのだ。

 大規模ライブイベントなどでもカバーされることの多い、いわゆるμ'sにとっての代表曲のひとつであるこの曲は、ライブで披露されるたびに場内を沸かせ、場内をサイリウムの輝きに染め上げてきた。本稿では「Snow halation」という楽曲の持つ魅力を改めて紐解きつつ、最近カバー曲を発表した歌い手の注目ポイントについても解説していく。

【MV Full】µ's 2ndシングル「Snow halation」

 「Snow halation」は、2010年12月にリリースされたμ'sの2ndシングル。イントロ冒頭の美しいピアノの旋律と鈴の音、さらにそこに重なるストリングスが、冬の夜の冷たい空気と胸に抱えた淡い想いを一瞬でイメージさせ、聴く者の心を瞬時にとらえる。山田高弘(作曲)と中西亮輔(編曲)が手掛けたサウンドは鼓動の高鳴りを表現するかのようにサビに向けて徐々に盛り上がり、それを美しく彩る、温かさと切なさを兼ね備えたメロディも絶品だ。そしてそのメロディと絶妙に絡み合う、畑亜貴による歌詞もまた素晴らしい。前述したサウンドと連動するかのように、歌詞を通して描かれる少女像の解像度が非常に高く、スクールアイドルが歌うラブソングとして非常にドンピシャな楽曲に。

 しかも、μ'sにとってこの曲はまだ2ndシングル。歌声が持つフレッシュさや初々しさが、前述したような歌詞やサウンドで形作られた少女像と結びつくことで、いじらしい愛おしさが生まれている。そんなサウンドと声が奇跡とも言えるベストなタイミングで出会いを果たしたからこそ、この曲は歌声も含めて名曲にまで高められ、ライブのたびにファンの大反響を生み、ファイナルライブでは東京ドームをオレンジに染め上げるに至ったのだろう。

年月を経た“今”の自分だからできる、新田恵海のカバー

 「Snow halation」を今年2月にカバーしたのが、μ'sのメンバー・高坂穂乃果役を務める新田恵海。レコーディングとしては実に14年ぶりだという彼女は、ここではあくまでも“新田恵海”としての表現に徹して歌唱。情感をたっぷり込め、切なさを垣間見せつつも、優しさや柔らかさをにじませたアプローチを行っていく。それは、“あの時”に描いた少女像を見守るようなにも感じられるし、去来する様々な想いの反映のようにも思える。そうやっていろいろな経験を重ねた彼女の、今の「Snow halation」を聴かせてくれた。

新田恵海 - Snow halation from CrosSing TVアニメ「ラブライブ!」挿入歌

 だがもちろん、彼女は決して穂乃果を切り離しているわけではなく、あくまでも“カバー”としての線引きをしただけ。それは彼女のオレンジのネイルから、そして動画最後に見せてくれたあのポーズから、十二分に感じ取ることができるはずだ。

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