μ's、Aqours、虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会、Liella!……『ラブライブ!』シリーズのアイドル達が届ける物語と音楽
アニメ『ラブライブ!』シリーズの最新作『ラブライブ!スーパースター!!』(NHK Eテレ)が、7月11日より放送がスタートした。Twitter上ではファンの実況ツイートが相次ぎ、トレンド入りするなど、まさに期待に応える第1話だった。本稿では、これまでの『ラブライブ!』シリーズや楽曲を追いかけつつ、Liella!や『ラブライブ!スーパースター!!』の作風についてを見据えていく。
『ラブライブ!』が届けていくのは、物語に他ならない。作品それぞれのコアやテーマ性が、作中のセリフやキャッチコピー、様々な断片となって視聴者へと刺さっていく。
第1作となった『ラブライブ!』(TOKYO MXほか)とμ'sのテーマといえば、「みんなで叶える物語」だ。この言葉はその後に続くシリーズ作品のファンらを含めて、ひとつの共同体のように感じさせる、一種のマジックワードにもなっている。
この言葉は、μ'sにとっては作品のストーリーとしてだけではなく、彼女らの音楽作品においても当てはまってくることがある。デビューシングルとなった『僕らのLIVE 君とのLIFE』は、2010年8月にコミケにて先行販売、その後一般発売されていたが、当時は雑誌『電撃G's magazine』での作品展開に留まっており、声優陣の発表やユニット名すらもアナウンスされていなかったためか注目度もいまひとつであった。
ともすれば厳しい時期を思い出させる出来事として封印されてもおかしくないはずだが、同作の表題曲はその後に催されたほぼ全ての公演で、定番曲として披露されていくことになる。それは、デビュー当初の悔しさや厳しさをあえて背負うかのようにも見える。
また、同曲が『ラブライブ!μ's Final LoveLive!〜μ'sic Forever♪♪♪♪♪♪♪♪♪〜』で1曲目に披露されていることも重要視すべきだろう。単音のギターリフから始まる爽快なポップソング「僕らのLIVE 君とのLIFE」は、独特な緊張感を一気に消し飛ばすようなフレッシュなムードを発しながら、μ'sが刻んできた「みんなで叶える物語」を強く感じさせてくれる。単にデビューシングルだから1曲目に選んだとは思えず、強い説得力を感じずにはいられない。
2015年前半から徐々にスタートしていった『ラブライブ!サンシャイン!!』とAqoursの物語、ここにも印象的なキャッチコピーがあった。青い海辺に1人の少女、告知ビジュアルに記してあったのが「助けて、ラブライブ!」というストレートな言葉だ。公式サイトや『電撃G's magazine』誌面で展開された大々的な告知を見たとき、ラブライバーの戸惑いと驚きは大きかった。
前作は秋葉原・神保町・神田を中心にしていたが、同作は静岡県沼津市を中心に描かれていることに注目したい。作中でも描かれているのと同じように、現実のアイドルシーンでも注目されていた「地方アイドル」の存在と同じく、Aqoursの活動を通じて『ラブライブ!』の物語が沼津の地に影響を与えていったのだ。作品・沼津市・ファンとで生みだしてきたムードや経済効果は大きく、まさに共創として形作られたのも興味深い動きだ。
作品発表から6年以上、Aqoursは現在でも活動を続けている。Aqoursの最新曲「DREAMY COLOR」のPVは、キャラクターと背景というアニメーションを飛び越え、『ラブライブ!』シリーズ中でも初めて声優9人が出演する実写PVとなっており、劇中に登場したスポットも多数登場している。アニメと現実の狭間、別次元か、地続きだと思わせるかという接地点において、このPVは現在進行形でバランシングし続けている。