Number_i、説得力とメッセージ性の高まり 新曲「GOD_i」で歌う“自分を信じること”の真意

Number_iが、1月27日に新曲「GOD_i」を配信リリースした。平野紫耀による「BON」、神宮寺勇太による「INZM」に続き、「GOD_i」は岸優太によるプロデュース曲。メンバーに加え、Pecori(ODD Foot Works)が作詞、MONJOE(DATS)とSHUN(FIVE NEW OLD)が作編曲を務めたナンバーだ。
Pecori、MONJOE、SHUNといえば、デビュー曲の「GOAT」から「BON」や「INZM」など、昨年リリースされたシングル/アルバム作品のリードトラックを手掛けてきた布陣である。こう書くと「GOD_i」も先に挙げた楽曲群のようなHIPHOPを想像してしまうかもしれないが、いざ聴き始めると、すぐに耳に飛び込んでくるメロディアスなフレーズに驚くだろう。リスナーに歌詞をじっくりと聴かせるような歌い出しは、今までのリードトラックにはなかったものだ。
神宮寺の切ない歌唱により、冒頭約20秒で“今までのNumber_iとは違う”雰囲気が感じられたのち、〈これは運命〉という平野の歌唱パートを境に、曲はシリアスなムードを漂わせていく。プロデュースにあたって岸は“壮大さ”を意識したといい、何重にも重なったコーラスとオルガンの神聖な響きが、「GOD_i」という曲名に相応しい神秘的なイメージを高めている。展開も、鋭いラップが繰り広げられたかと思いきや、再びメロディアスなラインが登場するなど、約3分半のなかで曲は方向転換を繰り返し、行き先を予測することを許さない。
複雑な構成をしているのは、リリース同日に公開されたMVも同様である。「BON」「INZM」のMVを手掛けた新保拓人が今作も監督を務めており、なかでも目を引くのが、随所で取り入れられている“逆再生”だ。逆再生の演出といえば、「GOAT」のMVも想起される。これまでのNumber_iのMVは、以前登場したモチーフが別作品にも登場するなど繋がりがあり、「GOD_i」もその流れを引き継いでいるように思う。
あらためて思い返せば、彼らのMVは作品を追うごとに、読み解くのが難しくなっている印象だ。今作は大きく分けると、巨大な鏡があるスタジオのような場所にいる3人と、人や車が行き交う路上に立つ黒い装いの3人が描かれている。最後に神宮寺の靴がキラリと光るのがクローズアップされるが、これは紆余曲折を経て「本来の輝きを取り戻した」というポジティブな意味合いにも捉えられれば、逆再生の演出を踏まえると、実はすべてが逆でラストシーンと思えたのが起点なのでは? とも深読みしてしまう。人によって異なる解釈が生まれるだろうし、さまざまな考察があふれることすらも楽しんでほしいと言われているようである。
メインとなるストーリー以外にも、車のナンバーが“あの日付”になっているなど、過去作と同じく細かな仕掛けも見受けられる。ほかにも隠された工夫を実際にMVを観ながら見つけてほしい。
楽曲構成やMVは複雑さを極める一方で、「GOD_i」で歌われていることは至ってシンプルだ。先ほど、「歌詞をじっくりと聴かせるような歌い出し」と書いたが、そうなっているのはおそらく、冒頭部分に曲の核となるメッセージが置かれているから。〈はじめからわかっていたんだよな/お前の神様はお前でしかなくて/俺の神様も〉――つまり、自分の願いを叶えてくれる神様は自分自身、ということだろう。それこそ「GOD_i」という楽曲タイトルに繋がるものであり、曲に込められているのは「自分を信じる」という想いだ。