BLACKPINK、グローバルアクトとのコラボで高めるK-POPの基準 話題先行型ではない理想的なソロ活動に

BLACKPINK、理想的なソロ活動の在り方

 また、揃って『Coachella Valley Music and Arts Festival 2025』へのソロアーティストとしての出演が決定したLISAとJENNIEの対比は特に興味深い。圧倒的なオーラを持ち、グループの中でもさらにカリスマ性の高いアイコンとして名高い両者だが、コラボ曲を通してその個性の違いがより際立っているように感じられるのである。

LISA(2024 Victoria's Secret's Fashion Show)

 LISAとロザリアの「New Woman」については、タイトなラップパートと優雅なボーカルのコントラストで魅了するLISAと、大胆なスロートラップビートの上で自由に歌声を紡ロザリアという両者の個性が一体となった楽曲自体はもちろん、Y2Kファッションを基軸に“陰と陽”の世界観へと繋ぐMVの出来栄えも素晴らしく、まさしく「自由を謳歌する、自立した力強いアイコン」としての両者の存在感をこれ以上ないほどに際立たせている。

LISA - NEW WOMAN feat. Rosalía (Official Music Video)

 一方のマット・チャンピオンとJENNIEの「Slow Motion」については、どこか夢見心地な質感のドラムンベースをバックに、今にも壊れそうな繊細で美しい歌声で、切ない恋愛の光景を描く2人の構図が印象的な楽曲となっており、力強いアイコンでありながらも、常にどこかフラジャイルな印象を与えるJENNIEの存在感をしっかりと際立たせている。これはマットやBROCKHAMPTONのスタイルにも通ずるものであり、だからこそ魅了されるのだろう。

Matt Champion & JENNIE - Slow Motion

 「New Woman」と「Slow Motion」は、どちらもBLACKPINKのメンバーが参加しているという点では共通しているが、楽曲の仕上がりやMV・ライブの光景などを含め、例えばJENNIEが「New Woman」に参加し、LISAが「Slow Motion」に参加しているような構図はなかなかに想像しづらい。それは、両者のコラボレーションが、それぞれの個性をしっかりと活かし、単なる話題先行のものではないからこそ成立するものだからなのだろう(これはもちろん「APT.」においても共通している)。それぞれのコラボは、人気グループのソロ活動において最も重要な「メンバーの個性を、グループではできない形で際立たせる」ということを見事に実現しており、だからこそBLACKPINKのソロ活動が充実したものであるように感じられるのではないだろうか。

JENNIE(Met Gala 2024)

 また、ソロデビュー自体もグループの最後を飾ったJISOOの今後の動きについても注目だ。現在は俳優業に専念している彼女だが、最近はソロカムバックの噂も少しずつ耳にするようになっている。2022年のBLACKPINKのツアーでは、カミラ・カベロがJISOOのソロパフォーマンスに参加していた過去もあることから、他のメンバーと同様に「JISOOらしい」コラボレーションにも期待したいところである。

JISOO(movie ‘Victory’ at CGV Yongsan)

 LISAやJENNIEのソロアルバムが2025年のリリースを予定していることを踏まえると、来年はさらに精力的にソロ活動が展開されていくことが予想される。もはやBLACKPINKが新たなグローバル・K-POPアクトとしての基準を打ち立てたことは自明だが、今後はソロ活動においても新たな基準を築き上げていくかもしれない。グループでの動きがなくとも、やはり「BLACKPINK IN YOUR AREA」なのだ。

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