Hi-STANDARD、the cabs、ELLEGARDEN、DOPING PANDA……再結成/再始動後、初の新曲に込められた特別な想い

 2013年の解散を経て、昨年1月に再結成したロックバンド・the cabsが、再結成後初となる新曲「パリ、わたしたちの」をリリースした。

 「パリ、わたしたちの」は、変拍子を駆使したthe cabsらしい手数の多いリズムアプローチと首藤義勝(Vo/Ba)によるメロディアスな歌声が唯一無二のアンサンブルを魅せる1曲。注目したいのはその歌詞だ。the cabsといえば文学的でありながら退廃的な世界観の歌詞が魅力のひとつだが、本楽曲の歌詞のアプローチはその元来の魅力を内包しつつも、解散から再結成を経たthe cabsの意思を感じさせるものとなっている。

〈ぼくらはふたりでいようよ パリはもう燃えてはいないから〉

 これは「パリ、わたしたちの」終盤に登場するフレーズだ。〈パリ〉、そして〈燃える〉という表現には、第二次世界大戦でナチス・ドイツ軍のアドルフ・ヒトラーが支配下にあったパリの破壊を命じた際に「Brennt Paris?」(パリは燃えているか?)と問いかけた言葉を想起させる。これまでも映画や音楽といった作品で度々取り上げられてきたフレーズだ。the cabsのこれまでの経緯と〈パリはもう燃えてはいないから〉という歌詞を重ね合わせれば、この歌詞は解散という形で壊れながらも再結成という復興を遂げたthe cabsからファンに向けて〈ふたりでいようよ〉と語りかける言葉として受け取れるのではないだろうか。もうthe cabsは燃えていない。

パリ、わたしたちの

 Hi-STANDARDは、2000年の人気絶頂のなかで活動休止をした。しかし2011年の主催フェス『AIR JAM 2011』の開催を経て復活。2016年にリリースされた16年半ぶりのシングル『ANOTHER STARTING LINE』は、事前告知なしでゲリラ発売され、新作を待ち続けていたファンに大きな衝撃と話題を与えた。表題曲である「ANOTHER STARTING LINE」は〈I'm home again〉(家に帰ってきたよ)というフレーズから始まる。再集結後初の新曲にはこれ以上ないフレーズだ。〈Never thought you'd be back in my life〉(キミがまた僕の人生に戻ってくるとは思いもしなかったけど)と、本人たちですら予想だにしなかった復活劇を示唆するかのような詞から〈Alive again〉(生き返ったみたいさ)とこの復活劇を喜ぶようなフレーズが続く。サビの〈Now I got a song for you/I hope you'll sing it too〉(だから今キミのために歌うよ/キミも歌ってくれたらいいな)という歌詞は、ここからまた始まるHi-STANDARDの新しい歴史に“キミ”=ファンがいること、Hi-STANDARDとファンの太い絆が示される歌詞といえるだろう。今年は8年ぶりとなる『AIR JAM 2026』開催も予定している。今もHi-STANDARDはバンドシーンを鮮烈に照らし続けている。

Hi-STANDARD- ANOTHER STARTING LINE- Full ver.(OFFICIAL VIDEO)

 2008年から10年の休止期間を経て、活動再開を果たしたELLEGARDEN。再始動後初めてリリースされたのは、2022年の「Mountain Top」。テンポ感も含めて派手さはないが、変わらない確かな情熱を感じさせるサウンドが鳴らされる「Mountain Top」は、〈It’s been a while since I last lost my head〉(最後に我を失ったのはいつだろう)というフレーズから始まる。〈Days in the sun I found in sobriety〉(シラフの中に見つけた日の当たる場所)は、活動休止期間中のことを示しているのだろう。それはボーカルでありソングライターの細美にとって、ELLEGARDENとして活動してきた日々とは異なる時間であったことを予感させる。2番Aメロでも〈"I don't know, it only gets emptier"/"Gets emptier"〉(「分からない。ただ空っぽになっていくんだ」)と、日々を回想するようなフレーズが並ぶ。そんななか、サビでは一転して〈Then I will be dancing with demons once more/I'm the one who wants to burn out〉(最後に悪魔とだって踊ってやるよ/俺は燃え尽きたい)と再びバンドと向き合い、飛び込む覚悟が歌われている。ここから始まった新たなELLEGARDENとしての歩みは、現在もなおその熱度を高めながら続いている。

ELLEGARDEN - Mountain Top [MUSIC VIDEO]

 2000年代のロックシーンで支持を集め、その後のダンスロックの先駆けとなりながらも2012年に解散したDOPING PANDAは、2022年に再結成。同時にMVが解禁された「Imagine」もまた、メッセージが込められた1曲だ。〈I want you to bring me to the floor/I can take you to the higher ground/Take you far away, far away, far away〉(僕をフロアに連れて行ってくれれば/君を高みへ連れて行けるんだ/もっともっと遠くへ)というフレーズは、ライブのたびにフロアを超満員にし、オーディエンスを踊らせていたDOPING PANDAの変わらない姿とそこに宿る精神を示している。

DOPING PANDA「Imagine」

 ロックバンドの再結成/再始動の裏には、それぞれのバンドのそれぞれのストーリーがある。そして、そんなストーリーを踏まえて制作された新曲には、バンドからのメッセージが込められている。あらためて彼らの鳴らす音を聴いてみると、そのメッセージの真意に気づくはずだ。

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