BLACKPINK、グローバルアクトとのコラボで高めるK-POPの基準 話題先行型ではない理想的なソロ活動に
12月6日に発表された、ROSÉ(BLACKPINK)待望の1stソロアルバム『rosie』。彼女自身が全楽曲のソングライティングに関わっていることはもちろん、普段のBLACKPINKの活動ではなかなか見せない等身大の姿や、(K-POPの業界ではタブーとされることも多い)過去の恋愛などの題材を扱っていることでも話題の同作だが、その注目度を高める上でこれ以上ないほどの効果を発揮したのが、先行シングルとして発表されたブルーノ・マーズとの「APT.」であることは明らかだろう。
韓国の飲み会ゲームを着想源とした、「아파트(アパトゥ)」というフレーズが頭に残る同楽曲は、韓国出身の女性ソロアーティストとして史上初の全米・全英シングルチャートTOP10入りを果たすほどの大ヒットを記録し、年末を彩るパーティチューンとして、今も世界中でプレイされている(また、連日続いている韓国での大統領退陣要求デモにおいても、さまざまなK-POPの名曲と並んで「APT.」が鳴り響いていたのも印象的だ)。
最初にブルーノ・マーズとROSÉのコラボレーションが発表された時にはさすがに驚かされたが、各メンバーが精力的にソロ活動を行っている現在のBLACKPINKにおいて、とりわけK-POP以外の欧米圏のアーティストとのコラボレーションは重要なトピックの一つでもある。来年の2月28日にソロデビューアルバム『Alter Ego』を発売予定のLISAは同作からの先行シングルの一つとしてロザリアとの「New Woman (feat.Rosalía)」を発表しており、同じく精力的にソロ活動を行っているJENNIEも今年3月に元BROCKHAMPTONのマット・チャンピオンによる楽曲「Slow Motion」にゲストとして参加している(先日開催されたタイラー・ザ・クリエイター主催のフェスティバル『Camp Flog Gnaw 2024』でも、マットのステージにJENNIEがサプライズ出演して大きな話題となった)。
BLACKPINKのソロ活動のコラボレーションにおいて重要な点は、それが(身も蓋もない言い方ではあるが)いわゆる話題先行型のものではなく、メンバー一人ひとりの個性やスタイルにフィットした人選であるように感じられることだろう。何より、コラボ相手と対等な関係にあるように見えるのが印象的だ。具体的な言及は避けるが、現在のK-POPシーンにおいて、外部アーティストとのコラボレーション自体はそれほど珍しいものではなくなりつつあるが、その人選については「(主に相手側に対して)本当に好きなのかな?」と疑問を抱いてしまうようなことが珍しくない。どうしても「コラボする」ということ自体が話題の中心となっているように感じてしまうことがある(もちろん例外はたくさんあるが)。
一方で、ROSÉ「APT.」の場合であれば、MVで仲睦まじく2人が楽しむ姿が象徴しているように、メンバー随一の親しみやすさや外交的な性格の持ち主であるROSÉのポジティブな佇まいはブルーノにも通ずるものであり、間違いなく大物アーティスト同士であるにも関わらず、まるで気の合う友人同士が無邪気に遊んでいるような印象を抱かせてくれる。楽曲構成についても両者のパートの割合はほぼ同じくらいとなっており、ROSÉの歌声に触発されたブルーノがさらに情念たっぷりに歌い上げているように見えるのも微笑ましい。総じて理想的なコラボレーション楽曲であり、それは少し前に発表された(同じく見事なコラボ曲である)レディー・ガガとブルーノ・マーズの「Die With A Smile」にも負けていないと思えるほどだ。