ヤングスキニーが照らした憂鬱な日々の希望、ツアー東京公演を振り返る　「生きづらいのは俺も一緒だから」

　ここで再び、ステージ壁面に最新アルバムのジャケットが掲げられ、「Interlude」を経て、「精神ロック」へ。曲が始まった瞬間、客席から一際大きな歓声が上がり、この曲がメンバーにとってだけでなく観客にとっても大切な存在になっていることが確かに伝わってきた。魂を燃やすように渾身の歌を届けていくかやゆー。それぞれの想いを自身のプレイにダイレクトに託していくゴンザレス、りょうと、しおん。熾烈なライブパフォーマンスを受け、これまでで一番の熱気と一体感が会場全体に生まれていく。「らしく」では、イントロから観客が一斉ジャンプを繰り返し、かやゆーが〈ちょっとくらいは／稼げるようになってきた〉という歌詞を〈LINE CUBE SHIBUYAで2日間ライブできるようになったぜ！〉と替えて歌い、客席から祝福の歓声が次々と飛び交う。本編ラストは、メンバーにとって、また、観客にとって、特に思い入れの深い大切なナンバー「愛すべき日々よ」。最後の〈お前が居てこその愛すべき日々よ〉という言葉は、やはり音源で聴く以上にライブの時間・空間で聴くと何倍もグッとくる。

　熱い呼びかけに応える形で実現したアンコール。かやゆーは、何のために音楽をやっているのかについて、「自分のためでしかないと改めて感じる」と、これまでと一貫した気持ちを語った。そして、「今自分が思ってる気持ちを全部詰めた一曲」として、最新アルバムのラストナンバー「誰かを救ってやる暇などないけど」を披露する。かやゆーの弾き語りから始まる同曲は、かやゆーのパーソナルな想いを凝縮した歌のようにも聴こえるが、途中からバンドインすることによって、他でもないこの4人の、ヤングスキニーの1曲として響く。4人の魂がのった渾身のライブパフォーマンスは、とても圧巻だった。ともすれば、観客を突き放しているように思えるかやゆーの言葉と歌詞であるが、その中に救いのようなもの、希望のようなものを見出した観客はきっと少なくなかったのではないかと想像する。そして、そうした考えは「毎日の憂鬱な日々に、この歌を！」という言葉と共に披露されたこの日最後の1曲「憂鬱とバイト」を聴いて確信へと変わった。ラストのサビ前、かやゆーが告げた「でも、生きづらいのは俺も一緒だから」という言葉が忘れられない。「憂鬱とバイト」というタイトルとは裏腹に、晴れやかなフィーリングが満ち溢れた感動的な大団円を迎えた東京公演初日であった。

■『”老いてもヤングスキニーツアー vol.5” 〜サブタイトルもう思い付きま編〜』
2024年11月26日＠東京・LINE CUBE SHIBUYA

＜セットリスト＞
M1.有線ラジオで僕の歌が流れていたらしい
M2.死ぬまでに俺がやりたいこと
M3.愛鍵
M4.ヒモと愛
M5.愛の乾燥機
M6.別れ話
M7.ゴミ人間、俺
M8.美談
M9.雪月花
M10.君じゃなくても別によかったのかもしれない
M11.好きじゃないよ
M12.コインランドリー
M13.ベランダ
M14.本当はね、
M15.ロードスタームービー
M16.ハナイチモンメ
M17.東京
M18.さよなら、初恋
M19.精神ロック
M20.らしく
M21.愛すべき日々よ
En.1 誰かを救ってやる暇などないけど
En.2 憂鬱とバイト