羊宮妃那、近藤玲奈など人気声優が集結 『デートウォーズ』:ギターウルフ、林哲司ら参加する最新音楽IPのカオスな魅力

アニメやゲームといったキャラクターIPと音楽の結びつきがますます盛んになっている昨今、音楽そのものを軸にしたキャラクターIPも浸透が進んでいる。例えばキングレコード内のレーベル・EVIL LINE RECORDSが手掛ける『ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-』は“音楽原作キャラクターラッププロジェクト”と銘打ち、ヒップホップに由来する高い音楽性やユーザー投票により勝敗が決するMCバトルシステムで人気を獲得。声優によるリアルライブ、ゲーム、TVアニメなど大規模なメディアミックス展開を行い、今や幅広い支持を得ている。

その他にも、アカペラを題材にした音楽プロジェクト『うたごえはミルフィーユ』や『アオペラ -aoppella!?-』、ダンスミュージックをテーマにした音楽原作キャラクタープロジェクト『電音部』など特定の音楽カテゴリーに特化した作品、声優が一人二役で演じるキャラクター同士がデビューを懸けて競い合うアイドルオーディションプロジェクト『VS AMBIVALENZ』のように、近年のトレンドであるリアリティショー形式のオーディション番組の要素を取り入れたものなど多種多様。数え上げるときりがないほど多くのコンテンツが生まれている。
『ヒプマイ』百瀬祐一郎 原作×みの 音楽プロデューサーによる音楽プロジェクト
そんななかで新進気鋭の音楽×キャラクターIPとして注目したいのが、女性声優による邦楽の名曲カバーとオリジナル楽曲を中心としたタイムレス音楽IPプロジェクト『デートウォーズ(DATE WARS)』だ。先述の『ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-』を手掛けた小説家・脚本家の百瀬祐一郎が原作・総合プロデュースを担当、動画クリエイター・音楽評論家の「みの」が音楽プロデューサーを務める本作品。遥か未来を舞台に、先祖の罪を背負った懲役合計159億4017万3140年の囚人たちが自由を掴み取るために、時空を超えて回収した名曲や、オリジナル楽曲を武器に恩赦バトルを繰り広げるーーという、かなりぶっ飛んだ世界観なのだが、これがなかなかおもしろい。
まず、世界を統一している組織の名前が「アインシュテュルツェンデ・ノイバウテン」、囚人が収監されている監獄の通称が「ダムド」という時点で、洋楽ロックやパンク~インダストリアルミュージック好きの人ならばニヤリとしてしまうはず。また、特殊部隊「時空旅楽団」に所属された14人の囚人たちが70年代・80年代・90年代・00年代の各部隊に分かれて、楽曲を武器に競い合うという設定で、それぞれの年代ごとの音楽のトレンドがアルバムに収録されたカバーの選曲や楽曲アレンジに反映されている。つまり各年代の音楽への造詣が深いほど、より深く作品を楽しめるだけでなく、本コンテンツを通じてポップミュージックに対する知見を広げることもできるのだ。




70年代時空旅楽団:DÉ DÉ MOUSEやmaeshima soshiが昭和ポップスを再現
さらに各年代の音楽のスタイルをそのままなぞるのではなく、あくまでも現代のポップスとして成立させているところがポイント。例えば、70年代時空旅楽団のオリジナル楽曲「授業中ランデブー」は、DJ/トラックメイカーとして幅広く活躍するDÉ DÉ MOUSEが楽曲を制作。みのいわくフィンガー5の名曲「学園天国」(1974年)をリファレンスとして提示したとのことだが、その元ネタでもあるThe Jackson 5に代表されるモータウン製の60'sソウルのフィーリングも取り入れつつ、絶妙にノスタルジックかつリバイバルならではの新鮮さを纏ったヤングソウル・ポップに仕上がっている。カバー曲に関しても、新しい学校のリーダーズが取り上げたことも記憶に新しい山本リンダ「狙いうち」(1973年)ではmaeshima soshiを編曲に迎えてクラブミュージックのテイストを注入。ジャパニーズレアグルーヴとして名高いかまやつひろし「ゴロワーズを吸ったことがあるかい」(1975年)については選曲自体に攻めの姿勢を感じさせる(編曲はDÉ DÉ MOUSEが担当)。
80年代時空旅楽団:シティポップのレジェンド 林哲司も楽曲提供
そして80年代時空旅楽団のオリジナル曲「届けInnocence!」は、松原みき「真夜中のドア~Stay With Me」(1979年)や杏里「悲しみがとまらない」(1983年)をはじめ世界的にリバイバルヒットしているシティポップの立役者として知られる作曲家・シンガーソングライターの林哲司が楽曲を提供。同じく林が手掛けた菊池桃子や河合奈保子などの80年代アイドルポップスの香りを彷彿させる、シンセサイザーのサウンドを軸にしたイノセンスな曲調が絶品だ。中森明菜「DESIRE -情熱-」(1986年)やアン・ルイス「六本木心中」(1984年)のカバーにもネオシティポップ~フューチャーファンク以降の視点がアレンジなどに感じられておもしろい。
90年代時空旅楽団:浜崎あゆみのクリエイティブを手掛ける湯汲哲也が参加
90年代時空旅楽団のオリジナル楽曲「Give you my heart」は、浜崎あゆみへの楽曲提供で知られる湯汲哲也が作詞・作曲・編曲を担当。80年代後半に大流行して以降のR&B~アーバンポップのスタンダードとなったニュージャックスウィングの跳ねたリズム感を採用した楽曲で、90年代の邦楽ポップスに照らし合わせるならばSPEEDのミリオンヒット曲「STEADY」(1996年)などに通じるグルーヴとボーカルワークが心地良い。さらに当時の日本の音楽シーンを席巻した小室哲哉のTKサウンドよりglobe「DEPARTURES」(1996年)のストレートなカバー、スチャダラパー「ゲームボーイズ」(1991年)を女性キャラクターの歌唱に合わせて改題のうえ8bitミュージックユニットのYMCKよりTakeshi Yokemuraをアレンジャーに迎えてチップチューン色を全開にした「ゲームガールズ」と、カバーの選曲・アレンジもひねりが効いている。
00年代時空旅楽団:mihimaru GT mitsuyuki miyakeによる“平成J-POP”
あらゆるジャンルやスタイルの音楽が混ざり合って現代の邦楽ポップスのひな型とも言える“平成J-POP”が形成された00年代のバイブスを継承しているのが、00年代時空旅楽団の楽曲群だ。オリジナル楽曲「HERO」はmihimaru GTのmitsuyuki miyakeが作詞を担当したモダンなポップチューンで、キャッチーなラップパートやスクラッチを取り入れたファンキーなサウンドメイクにきっと気分上々になるはず。かと思えば再評価著しいORANGE RANGE「キリキリマイ」(2003年)のカバーではトラックメイカーのYackleをアレンジに迎えて現行トレンドのフォンク(Phonk)を導入。ラウドロック寄りのサウンドメイクがフレッシュなサンボマスター「世界はそれを愛と呼ぶんだぜ」(2005年)のカバーを含め、ミクスチャー感は4ユニットの中でも随一と言える。
そんな各年代ごとのカラーを踏まえつつ、それらを融合させたキメラ的な楽曲で本コンテンツならではの音楽体験を創出しているのが、4ユニットのメンバー14人全員が歌唱する時空旅楽団のアンセムソング「Jailbird」と「フラッシュバックメモリー~時代を駆ける物怪たち~」。前者はOHTORAとmaeshima soshi、後者はブライアン新世界が楽曲を手掛けており、各ユニットのパートごとに演歌からヒップホップ、泣きうた系までさまざまに変遷していく曲調は唯一無二だ。






















