かやゆー(ヤングスキニー)×れん、『RADAR: Early Noise』から受ける刺激 “自分らしさ”を貫く大切さも語り合う
Spotifyがその年に飛躍が期待される国内アーティストを選出する『RADAR: Early Noise』が今年で7年目を迎えた。
『RADAR: Early Noise』は、選出アーティストの魅力をプレイリストやライブイベントなどを通じて1年間、継続的に音楽ファンに紹介するSpotify独自の新人サポートプログラム。これまでもあいみょんやKing Gnu、ずっと真夜中でいいのに。、藤井 風、Vaundyといった現在の音楽シーンを牽引する人気アーティストをいち早く紹介してきた実績から、リスナーの注目度も年々上昇中だ。
2023年に選ばれたのはSkaai、DURDN、Tele、TOMOO、なとり、春ねむり、Furui Riho、ヤングスキニー、LANA、れんの10組。今回はティーンエイジャーから熱い支持を集めているヤングスキニーのかやゆー(Vo/Gt)と、シンガーソングライターのれんによる対談を企画。
SNS発信世代の二人が思うバンド・アーティスト像、ライブや歌詞を書く際のこだわり、お互いへの印象などを本音100パーセントで語ってくれた。(取材は3月17日東京・Spotify O-EAST『Early Noise Night #15』開催当日)(石角友香)
『RADAR: Early Noise』に選出されて
――今年の『RADAR: Early Noise』に選出された感想をそれぞれお願いします。
かやゆー:名だたるアーティストさんが選ばれているところに今回こうやって選ばれて。しかもこれまで、選ばれた後に有名になっていく方々がいっぱいいたので、僕たちもそこに追いつけるようにやっとスタートラインに立てたのかなと。これからもっと頑張らなきゃなと思いました。
れん:僕もかやゆーくんが言ったように、例年名だたるアーティストの方々が選出されている中で、選ばれた後が大事だと思っていて。来年、再来年どうやって活動できるか、どういったアプローチができるか。これから先のことをもっと意識して頑張りたいと思いましたね。
――今年選ばれた他のアーティストから受ける刺激はありますか?
かやゆー:普段ライブではあまり一緒にならないようなヒップホップの方や、シンガーソングライターの方がいて。特に今日のようなライブがあると、集まっているお客さんをいかに自分たちのファンにできるかが鍵だなと思いますね。ただ、いつもとは環境が違うぶん、めちゃくちゃライブのやり方は難しくなるし、自分としても成長できるいい機会になりそうです。
れん:違うジャンルの人たちが集まっているのがいい意味で面白いし、今回のライブもそういうところに良さがあると思います。ライブにも出演するTOMOOさんは『Early Noise』に選ばれた今年のアーティストの中ではポップス寄りということもあって聴くようにしていて。ちょっと懐かしさもありつつ今のトレンドも取り入れている音楽で、すごくいいなと思っています。
ーーお二人それぞれの音楽についての印象はいかがですか?
かやゆー:れんくんはシンガーソングライターだけど、バンドスタイルでもライブをやったりしているから、自分の好きな系統の音楽をやっている印象がありました。特に「赤」って曲を聴いた時、めっちゃいいなと思いましたね。僕らはSNSで出会ったメンバーでバンドを組んで活動しているんですけど、批判的なことを言ってくる人たちに向けた曲は自分も経験があるからこそ刺さりますし、めっちゃカッコいいなと。
れん:嬉しい。僕ももちろんヤングスキニーの音楽は聴いています。かやゆーくんとは先日北海道の弾き語りイベントで一緒になったんですけど、弾き語りだとアコースティックギターとかやゆーくんの声だけで、より歌詞が入ってきて。そこで聴いた「ヒモと愛」って曲は面白かったです。僕の曲とは対照的な世界観だし、「かやゆーくん自身の実体験なのかな……?」と思ってしまうぐらい内容が濃くて。この曲の主人公はバンドマンだけどバイトをしたくない。でも彼女はそれを受け入れて応援してくれて、お金はないけどバンドを辞めたくないという主人公に「なら今は私が食べさせてあげるからね」って言うんです。この部分の歌詞とかすごくその場面が想像できて。「これは俺には書けないな」って思いました。
――「そこまで書くんだ?」って驚いたんですね。
れん:ここまで露骨に攻めた表現ができるって本当にすごくて。ちょっとでも列を乱したらすぐ指摘されるような時代に音楽でもMCでも自分に偽りなく表現している姿はカッコいいですね、先輩として。
かやゆー:僕はSNSのアカウントをTikTok以外消しているので、そこで開き直ることができないんです。だったら僕が開き直る場所は音楽しかないかなっていう感覚で、「こういう曲を出したら叩かれるだろうなぁ」っていう思いもないですね。この前出したアルバムのタイトルそのままなんですけど、『歌にしてしまえば、どんなことでも許されると思っていた』って思いながら曲を作っているというか、自然とそういう歌詞が出てきます。
――「もう失うものはない」みたいな感覚ですか?
かやゆー:そうですね。自分で言うのもダサいですけど、失うものはないです(笑)。書いた曲の内容で叩かれたとしても、「いや別に曲の中の話だし、みんなこんな曲書けねーだろ」と思いながら。別にどれだけ言われていても結局僕たちの曲を聴いているんだったら、批判する人たちの負けだと思いますから。
――かやゆーさんは、れんさんの弾き語りを見てどう思いましたか?
かやゆー:シンプルに歌が上手いっていうのが一番ですね。TikTokで初めて見た時から「歌上手いし、顔イケメンだし、しかも俺より年下? 完璧じゃん」っていう思いしかなかったです(笑)。僕は結構、自分のことを癖のある歌い方だと思っていて。それが刺さる人には刺さるんだと思うんですけど、れんくんの歌は本当にいい意味で万人受けする歌い方だなと。僕的には憧れだし、だからこそTikTokのフォロワーも多いんだろうし、聴いてくれる人もたくさんいるんだろうなっていうのはずっと思ってましたね。